「消費者物価指数(CPI)で見たインフレ率が年平均で2%を突破するまでゼロ金利政策を続ける」という黒田春彦・日銀総裁が掲げる金融政策への「突っ込み」の第二弾として、今回はCPI、すなわち「消費者物価指数」なるものが実はどれほど「消費者にとっての真の物価水準の物差し」から乖離しているのかについて考えてみよう。
つまり元々CPIで想定していた、単品購入が圧倒的多数を占めていた消費者の消費項目と金額の割合はどんどんバンドル化・サブスクリプション化されているのだ。
従来の区分の物品での消費額は激減しているが、実は別のサブスクリプション・サービスに組み込まれて消費されている、しかもそれをCPIでは見逃しているという実態があるのだ。
2.「隠れた値上げ」を見逃している
もう一つのCPIに関し提起しなければいけない疑問点は、「隠れた値上げ」を反映していないことだ。つまり表面上は値段据え置きだが、容量やサイズ・本数などを減らしてしまうやり方が、平成大不況後の試行錯誤を経て、消費者向けの商品ではかなり広範に行われているのだ。
CPIの対象の中でも、生鮮食品などでは重量当たりの値段などを見るケースも少なくないが、加工品では基本的にパッケージ毎、つまり「ひと箱」「1本」という単位での値段で比べているようだ。消費者の実感には近いだろうが、これだとメーカーが「隠れた値上げ」をいくらやってもCPIには反映しない。
多くの方が気づいていると思うが、例えばビールなどは同じ350ml缶なのに、以前なら大き目のグラスに十分に2杯分あったのが、今では約1杯半分しかない(小生の家庭では毎日夫婦でこの差を実感している)。源氏パイなどは昔に比べれば随分縮んでしまったし、ポテトチップスは袋だけ膨らんでいるが中身はスカスカになってしまった。
こういうセコイ「実質値上げ」以外に、堂々とした「お色直し」値上げというのもある。儲からない商品・サービスを廃止し、パッケージやネーミングまでもリニューアルした上に少し付加価値を上乗せした後釜商品(でも本質的には先代と同じ商品)を出して実質値上げをするケースだ(こちらは弊社でもコンサルティングさせていただいたことがある)。これもまたCPIには反映しないケースが多かろう。
以上見てきたように、「CPIの上昇率だから客観的で正確な測定ができる」という主張にはまやかしが結構含まれていることがよく分かるだろう。社会インフラ・制度
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
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