先週は米、ユーロ圏そして日本の各中央銀行の金融政策委員会が開催され、それぞれ今後の金融政策方針が明確になりました。特にユーロ圏と米国の方針が鮮明になり、今回レポートはそれぞれ言及したいと思います。時系列的に説明します。
今回の定例理事会では、資産購入終了時期を明確化するとともに、利上げ時期もおぼろげながら、来年夏頃にするということを明確化したことに金融市場は反応しました。
来年早い時期に利上げをするのではとの観測を一部市場関係者は読んでいたようで、それに反応した為替市場といえます。ECBは来年早い時期には利上げをしないということを理由に、米国との金利差は早期に縮小しないとして、ユーロ売り・ドル買いの動きになっているようです。これがしばらくユーロ相場の基本となるようです。
日銀政策決定会合
日銀は6月15日開催の金融政策決定会合で、政策金利(日銀当座預金のうち政策金利残高)を-0.10%のマイナス金利、そして長期金利の指標である10年物国債の金利をゼロ%程度で推移するように、国債購入を進めるとしています。保有残高を年間80兆円程度にするとしています。予想通りの結果であり、米欧の中央銀行ほどの注目度はなかったようです。
日本のGDP(国内総生産)第1四半期2時速報では-0.6%前期比年率と意外に悪い数字となりました。去年の良い数字の反動、そして為替で大きく円安に振れなくなったこと、企業の慎重姿勢などが影響しているように思います。その結果、個人消費も大きく伸びてはいないと言えます。
インバウンド需要の海外旅行者の消費だけに頼っている現状ではいけないようです。結果、日銀は引き続き量的緩和を続けることになり、安倍政権としても、日銀金融姿勢に頼った経済運営をせざるを得ないように思います。
さいごに
纏めてみましょう。日米欧中央銀行はそれぞれの金融政策方針を明確化しました。FRBは当面は積極姿勢の利上げ方針といえます。ECBは慎重姿勢ながら、量的緩和の出口方針を決定するものの、利上げには来年夏頃以降と慎重方針です。
そしてわが日本銀行は、まだまだ量的緩和を続けないといけないと現状の金融政策方針を確認したと言えます。このことで、金利にさらに明確な差が出てくるものと考えられます。
長期金利で見ると、米国10年債は3.00%前後、ユーロ圏債券指標ドイツ連邦債10年0.50%前後、そして日本国債ゼロ%が今後3か月程度の利回りの推移ではないかと筆者は思います。金利差重視の投資家の参考になればと思います。
«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。
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