前回は、プロジェクトを経営の中心に据えて事業をドライブすること、プロジェクトを「プラットフォーム」として捉え、そのプラットフォームに社内外の有能な人材を集める力が求められるという話でした。
つまり、
・その企業が目指すビジョンを実現させるために何を創り上げる必要があるか。
・それを創り上げるためには、どんなプロジェクトをどの順番で立上げ進めていく必要があるか。
に関するマネジメントです。
これは、まず実現させたい姿が描かれていて、その全体像に対してパズルのように個々のプロジェクトを組み合わせて埋めていくような活動です。 ビジョン達成の全体観を持ちながら、必要となるプロジェクト(プログラム)を良いタイミングで貼っていくようなイメージです。
次に、「オペレーショナルマネジメント」です。
「プロジェクト」であるからには、定常業務を回すより、取り組む課題の難易度も高く、不確実性も高い。さらには、雇用関係のない色々なバックグラウンドを持った外部のパートナーとの混合チームをまとめる必要もあります。プロジェクトの中心的なメンバー同士であっても、必ずしも同じ場所で仕事をしているわけではありません。遠隔からメールや電話会議だけでのコミュニケーションのやりとりになる人もいるでしょう。時間の融通が効かず、稼働できる曜日や時間の制約がある外部メンバーともタスクとスケジュールを調整しなければなりません。 こうなるとマネジメントはかなり複雑になります。
もちろん、プロジェクトのマネジメント自体、必ずしも自社のメンバーがやらないといけないということはありません。外部のプロジェクトマネジメントのプロに任せるのでもいいと思います。ただし「オーナーシップ」を放棄するような丸投げではダメです。そして、プロジェクトのマネジメント実務を誰がやろうとも、組織として複雑なプロジェクトをドライブできるための方法論や仕組みを、蓄積・発展させていく必要があります。
そのためにも、各プロジェクト(プログラム)のマネジメントの上位ポジションとして、企業全体のコーポレートPMO的なチームが、企画・実行されるすべてのプロジェクトの品質を向上させる役割を担うことが必要になります。このようなPMO組織を設けている企業は現在でも結構ありますが、単なるレポーティング機能を担うだけで、各プロジェクトの進捗状況を取りまとめて経営陣にレポートすることがメインの仕事になってしまっているケースをよく見ます。 そうではなく、企業としてのプロジェクトのノウハウを蓄積し啓蒙する役割や、企業を跨いだコラボレーションの推進や契約周りの支援もできる存在である必要があります。
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