新型コロナウイルス禍もあり、ネットを通じたサブスクリプション(継続課金型ビジネス、以下サブスク)の注目度が高まっています。新型コロナの感染拡大を避けるため、テレワークが拡大し、家に居ながらネットを利用して様々なサービスを受けたいというニーズが高まっていることが背景にあると考えられます。さらに、モノに限らずソフトウェアなどの無形資産までも、購入をしないで利用するという消費スタイルが普及していることもサブスクの追い風となっています。 サブスク系ビジネスにおいては、デジタルマーケティングが、持続的成長の鍵を握っています。デジタルマーケティングでは効率的にユーザーを獲得し、そのユーザーにサービスをできる限り長く利用してもらうことが大切です。今回は、LTVとCACという2つのキーワードに着目し、デジタルマーケティングの必勝法則を探ります。
サブスク系のビジネスではLTVが重要
サブスク系のビジネスにおいては、売り切り型のビジネスとは異なり、ユーザーが何ヶ月利用してくれるのかという継続率が大切になります。とりわけLTV(Life Time Value、ライフタイムバリュー)を前提として考えることが重要です。
LTVというのは、直訳すると「顧客から生涯にわたって得られる収益」となりますが、分かりやすく言えば、ユーザーに自社のサービスの利用を続けてもらっている限り得られる利益ということになります。携帯電話や保険などをイメージすれば分かりやすいでしょう。
広告費や営業担当者の人件費といった費用をかけて獲得したユーザーであっても、サービス利用が短期間で終わってしまえば、1ユーザーから得られる利益は少なくなってしまいます。そのため顧客との信頼構築も重要になり、投下したマーケティングコストを効率的に回収することと、ユーザーとの信頼構築を両立させる必要があります。
CACとCPAの違いを理解すると、マーケティングの”粒度”が上がる
次にマーケティングコストを考えていくときの視点として、CAC(Customer Acquisition Cost)と、CPA(Cost Per Action)の違いを理解することが大切です。CACとCPAも顧客獲得単価を表しますが、意味するところは異なります。
CPAは、顧客一人を獲得するのにかかった「広告コスト」を表します。これに対しCACは、顧客一人を獲得するのにかかった「広告費に人件費、間接費用などを加味したコスト」となります。さらに、CACは単なる費用対効果をダイレクトに計測する指標ではなく、幅広い意味を持ちます。
CACにおいては検索エンジンで調べたり、SNSのタイムラインに表示された記事のリンクから訪ねてくれたりしたノンペイド(広告費などをかけていない)のユーザ-も、対象になります。CACの方がより細かくユーザーを見ている(粒度が高い)ことになります。
もちろん、ウェブ広告などを通じて、ユーザーのとった行動を把握する場合にはCPAも役はに立ちます。ただし、今回のテーマであるサブスク系スタートアップ企業のビジネスモデルでは、CACがより重要だということを念頭に置いてもらいたいと思います。
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2022.02.19
2024.03.15
株式会社ライフネクスト 代表
2010年より大手Web広告代理店にて数多の業種のWeb広告支援を経験。アドテク推進組織の発足や大型プロジェクトの戦略立案を担当。 2015年からは、AdRoll株式会社に参画、世界Top営業成績を樹立し日本オフィスの成長に大きく牽引。2017年株式会社Lifunextを設立し、データ活用を軸に様々な企業のデジタルマーケティング支援を行っている。