今、働き方改革を進める企業より、大きな注目を浴びているRPA。今年はRPA元年とも言われ、早くも他の業界や中堅・中小企業にも浸透し活況で、ちょっとしたブームの感がある。ただ、RPA導入での失敗例もあり、筆者のこれまでの経験を踏まえ、RPA導入を成功に導く5つのポイントを提言していきたい。
RPAとは「ロボティクス・プロセス・オートメーション」の略で、ソフトウェアロボットによって、ホワイトカラー定型業務のPC操作を自動化させるものである。簡単なイメージとしては、(マウスやキーボードの操作手順を記憶させて自動実行できる)エクセルのマクロ機能があるが、この機能をWebブラウザや他のアプリケーションでも可能にしたものといったところである。
このRPAだが、今、働き方改革を進める企業より、大きな注目を浴びている。昨年、金融機関を中心にRPA導入が一気に進み、大変大きな成果を得られた様である。三菱UFJフィナンシャル・グループは「国内の事務作業の自動化やデジタル化で9500人相当の労働量の削減を実現したい」(2017年9月19日の日本経済新聞)、三井住友フィナンシャルグループでは、「これまでにRPAによる自動化で約200業務、40万時間の業務量削減を実現しており、今年度末迄には100万時間、3年以内に300万時間(約1,500人分の業務量)以上の業務削減を実現」(2017年11月13日のニュースリリース)といったRPA積極活用のコメントが発表された。
こういった事もあり、今年はRPA元年とも言われ、早くも他の業界や中堅・中小企業にも浸透し活況で、ちょっとしたブームの感がある。ただ、RPA導入での失敗例もあり、筆者のこれまでの経験を踏まえ、RPA導入を成功に導く5つのポイントを提言していきたい。
ポイント1.目的は、人員削減ではなく、高付加価値業務へのシフト。
RPA化によって、対象業務の遂行者は、従来の人からソフトウェアロボットに置き換わる事になる。その為、RPA導入目的は、「人員削減数」をKPIに据えたコストカットの方向に行きがちになる。但し、これでは、RPA導入が推し進められない。なぜなら、RPA化では、対象となる業務の細かい手順やルール等をRPAシナリオとして落とし込む必要がある。その為、既存の業務担当者の協力が不可欠なのである。
自分の業務内容が、ソフトウェアロボットに奪われるというのでは、なかなか積極的になりづらいところである。出来れば、仕事を無くす方向ではなく、より非定型な高付加価値業務へのシフトで収益向上といった前向きな方向の目的とする事が望ましい。
ポイント2.RPAツールは(はじめは)安価なものが無難。
現状のRPAツールの価格には、とても大きな開きがある。各社の価格体系は、殆どがライセンス利用料といったものだが、年間1000万円クラスの高価なものと100万円から数十万円クラスの安価なものとざっくり2つに大別される。高価なものは、サーバー内で複数のロボットが動作する「サーバー型」で、比較的 大規模向け。一方、安価なものは、一部サーバー型もあるが、複数のPCで動作する「デスクトップ型」が主流で、比較的中~小規模向けである。
次のページポイント3.PoC導入で効果を実証し、関係者を巻き込む。
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2009.10.27
2008.09.26
エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント
慶應義塾大学 環境情報学部卒。IBM/サン・マイクロシステムズ/PwCコンサルティング社にて、いずれもコンサルタント職として計10年在籍。 その後、エフィジェント社を創業し、代表コンサルタントとして、システムコンサルティング、システム開発活動に従事。専門システムは、デジタルサイネージ/EC/業務システム。