イノベーションには、大きく分けると、 次の3つの軸があることを前回ご紹介しました。 ・技術イノベーション ・経営イノベーション ・アイステシス・イノベーション このうち、技術イノベーションにおける 4類型についてご紹介します。
の組み合わせによって次の4つのセルができます。
1.パラダイム破壊型-性能破壊型
2.パラダイム持続型-性能破壊型
3.パラダイム持続型-性能持続型
4.パラダイム破壊型-性能持続型
このうち、
1.パラダイム破壊型-性能破壊型
のセルに該当する製品は実質的に存在しません。
なぜなら、パラダイム破壊型は、
通常大幅な性能向上を伴うべきものであり、
パラダイムを破壊しつつ、同時に性能を
引き下げるようなイノベーションを行うことは
矛盾するからです。
そして、この4類型でいくと、
「トランジスタ」
は、パラダイム破壊型、かつ真空管よりも
大幅な性能向上を果たしているという点から、
4.パラダイム破壊型-性能持続型
に分類できます。
また、ハードディスクドライブの小型化の歴史は、
同じパラダイム上にあって、
性能を引き下げていったわけですから、
2.パラダイム持続型-性能破壊型
に該当することになります。
最近のより身近な例を挙げるなら、
従来の銀塩フィルムを用いたカメラから
デジタルカメラへの移行は、
パラダイム破壊型、性能持続型の「4」になるでしょう。
銀塩フィルムの小型バージョンであった「APS」規格は、
パラダイム持続-性能持続型の「3」でしたが、
デジタルカメラが引き起こした4のイノベーションに
呑み込まれてしまって実質的に失敗に終わりましたね。
富士フィルムは、
一時期、デジタルカメラのパラダイム破壊を無視し、
従来のパラダイムの枠内にあった「APS」に
こだわったため苦しい思いをしたようです。
今回はとりわけ難しいテーマでしたね。
わかりにくかったらすいません。
なお、本来このメルマガ&ブログは、
主にマーケターの方を対象に書いていますので、
科学技術系のネタはちょっと場違いだと思われている
かと思います。
ただ、2軸でモノゴトを整理するような枠組みを
使いこなせる力、つまりフレームワーク思考力の
トレーニングとして読んでいただければ幸いです。
また、パラダイム破壊といった視点は、
マーケティングの世界で言えば、
生産者志向→消費者志向
販売志向→関係性志向
という変化として置き換えられるわけです。
マーケティングにおけるイノベーションを
考える上で参考になるんじゃないでしょうか?
『イノベーション 破壊と共鳴』
(山口栄一著、NTT出版)
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2008.03.19
2013.07.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。