封筒にすっと入ってしまうノートパソコン、MacBookAirである。そのキャッチフレーズは「世界最薄のモバイルPC」。このマシンが描くのは人とパソコンの近未来予測図だ。
MacBookAirが提示しているのは、こうした問いに対する答である。
それは次世代の無線ネットワークを前提とした未来図ともいえる。通
信環境が新しいパラダイムに入るとき、モバイルコンピューターのデ
ザインはどうあるべきか。Appleが示しているのは、単なるパソコン
のデザインではない。デザインされているのは、人とパソコンの新し
い関係である。だからウルトラスリムではあってもモニターは13イ
ンチを確保し、キーボードの打ちやすさもまったく犠牲になっていな
い。このあたりの設計思想は、いわゆるモバイルノートパソコンとは
まったく異なる。
iPodが音楽の未来を新しく切り開いたように、
iPhoneがケータイの新しい未来像を創りつつあるように、
MacBookAirがパソコンの未来を変える。
スティーブ・ジョブズは、そう語っているのである。
もちろん、現時点でいくばくかの利便性を犠牲にしていることなど、
ジョブズは先刻ご承知である。ここまで思いきったマシンを発表する
ことで、MacBookAirをめぐる活発な議論が巻き起こることも計算済
みだろう。そうした議論はイヤでもMacBookAirに対する注目を引き
起こすことになる。
同時に熱心なMacエヴァンジェリストたちが、ブログをはじめとする
あらゆるメディアを使ってMacBookAirの素晴らしさを「信者らし
く」熱く語ることもジョブズは読んでいるはずだ。見事なプロモー
ション戦略だと思う。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」。かつてダ
イナブックを提唱したアラン・ケイはこう語った。MacBookAirの発
明は、人とパソコンの未来に新しい世界を開く。それぐらいの哲学を
込めた開発された製品、それがMacBookAirである。
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