国内外で政治・経済の不透明感が広がる近年、リスクを回避する実物資産として再注目されている「金(ゴールド)」。 前回は、世界規模で需要が高まる金市場の特性や、今後の動向について詳しく見てきました。 今回の《Part2》では、さまざまな金投資の方法や投資する際の注意ポイントなど、より実践的なアプローチに迫ってみたいと思います。
長期的な分散投資として力を発揮する金
前回もお話ししましたが、金はそれ自体に価値があり、将来的にも期待できる実物資産として、いざという時に力を発揮してくれます。土地・建物などの不動産とは異なり、どれだけ保有しても固定資産税がかからない点も大きな魅力です。
ただし、金自体は保有しているだけでは金利が付きませんし、配当もありません。株などの他の投資商品の場合、商品そのものが価値を生み出していくのに対し、金の場合は単純に価格の上下のみで、金自体が何かを生み出すわけではないのです。将来にわたって無二の価値を築きながら、リスクが顕在化した時に実物資産としての強みを発揮するという点で、金は「ローリスク・ローリターン=守りの資産」といえるでしょう。
よって、金を投資の対象として考えるなら、他の投資と組み合わせてリスクを分散させる、いわゆる「分散投資」として組み込むのが一般的です。株や為替が下落した分を補てんするという意味で、金の投資比率は全資産の10~20%程度とするのが、健全かつ理想的な投資バランスとされています。
株やFXのように短期間で2~3倍の利益を得ることはなくても、リスクに備えた分散投資として長期的なスタンスを持つことが、金との賢い付き合い方といえそうです。
さまざまな金投資の取引方法・商品の特徴
金への投資は、取引方法によって「現物取引」と「証券取引」の2つに大きく分けられ、それぞれの投資商品にもさまざまなタイプがあります(図参照)。
では次に、それぞれの取引における主な投資商品の特徴を見てみましょう。
【現物取引の主な商品】
- 金地金/金地金は「バー」と呼ばれる金の延べ棒です。バーサイズ(重さ)は1gから1kgまで数種類あり、500g未満のバーは売買時に「バーチャージ」という手数料がかかります。ちなみに、ずっしり重い1kgの地金価格は約500万円也!
- 金貨/鋳造品質に優れた「メイプルリーフ金貨」や「ウィーン金貨ハーモニー」が有名です。金貨は地金より少額で購入できますが、地金から鋳造する「鋳造コスト」がかかるため、同じ重量の地金より価格は高くなります。ただし、現物に傷がつくと売却価格が下がるので要注意。
- 純金積立/毎月一定額を口座から引き落とし、その額を当月の営業日数で割った金額で毎日金を買い付けるため、一定量を購入していくよりも買い付け価格を抑える効果が期待できます。手ごろな価格(月々1000円~)で始められるのも魅力です。
【証券取引の主な商品】
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