世の中、第3次AIブームだそうである。発表された事例の中には「それはAIじゃないだろう」と突っ込みたくなる「AIもどき」のサービスやシステムがあるのも事実だ。そんな中、世界最大のEコマース、Amazonの有名なリコメンデーション機能もAI活用の事例として扱われているが、素朴な疑問を呈したい。
何のことはない。小生が購入前にAmazonのウェブサイト上で検索して色々な機種を閲覧していた結果から、「このユーザーはプリンター/PCに興味がある」という情報が一旦蓄積されているゆえに、ある程度の期間を経て、同じまたは類似機種をリコメンデーションしているに過ぎないのだ。Amazonの場合には買い物や検索に加え、「欲しい物リスト」に入っているものも同様にリコメンデーションの対象になることも明確だ。
しかしこれらははっきり言って、「AI」とか「機械学習」とかいうレベルではないのではないか。
確か、Amazonのリコメンデーションというのは「(ログイン後の)買い物や検索などの行動データを蓄積して、同じような行動を取った他のユーザーがその後に購買したパターンと同じものをリコメンデーションする」のだと聞いたことがある。その精度は母集団データが巨大になればなるほど向上するに違いない。
しかしこれだけでは「ビッグデータ解析を自動手順で実施している」に過ぎず、「機械学習ベースのAI」とは違うはずだ。後者であるなら、新機種を買ったばかりの人に「もう一台どうぞ」と勧めるのではなく、周辺機器や関連サプライ品を勧めることが優先されてしかるべきだ(確かにそうした商品もたまにリコメンデーションされるが)。また、新機種を買ったばかりの人に、買い替えられた旧機種プリンターのサプライ品を勧めるのもAIらしからぬ振る舞いだ。
確かに可能性としては、複数台のPCを所有している人(小生もその一人だがAmazonで買ったのは1台だけだ)がそのうち1台を更新した後に、買ったばかりの機種が気に入って他の旧機の更新時に「もう一台」と追加購入するケースがないとはいえない。また、インクジェットプリンターを複数所有している人が連続して似たような機種を更新購入することがあるのかも知れないし、前から使っている別機種のインクカートリッジを相変わらず追加購入することも皆無とは言えない。
しかしそんな行動パターンを示す人たちが多いとも思えないし、小生がそうした人たちと同じ購買行動を示したとも思えない。やはりAmazonは単に、個々の検索行動と購買行動それぞれに対し単純反応してリコメンデーションしているとしか思えない。
第2次AIブームの時にはエキスパートのノウハウがプログラムされているだけでAIと呼ばれた。しかし第3次AIブームの今、「機械学習などで自己学習して少しずつ賢くなる機能がない限り、普通はAIと呼ばない」(某I社のAIエキスパートの談)。新規事業をコンサルティングしている小生としてもそのように説明している。
一体、AmazonではAIおよび機械学習をどう定義しているのだろうか。NHK的に、「先端的なITなんだからAIと呼んでもいいじゃん」というバズワード追随派なのだろうか。それともAWSのHP冒頭の説明文はまったく違った解釈をすべきなのだろうか。謎だ。マーケティング
2015.08.27
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
