2017年8月2日、ビットコインが分裂したというニュースが世間を騒がせました。 ビットコインは取り引きを一時停止しますが、独立した新しい仮想通貨は「ビットコインキャッシュ」として即日取り引きを開始。それに伴い、従来のビットコインの取り引きも再開されたことで、混乱はほどなく収束しました。8月3日には30万円ほどに下がっていたビットコインの相場は徐々に値を上げ、8月15日には1ビットコイン=49万6653円の過去最高値を記録することになったのです。 ひと昔前、有事に備えて蓄えるのは「金(gold)」でした。それがいまやビットコインに代表される仮想通貨に代わろうとしています。とはいえ、仮想通貨は私たちにはまだなじみの薄い存在。ビットコインとはいったいどんなものなのでしょうか。
次世代のお金といわれる、仮想通貨とは?
仮想通貨は「お金」ですが、円やドルなどとは違い、お札やコインという物理的な実物は存在しません。インターネットを介して送金や決済ができ、取引業者を通じて円やドル、ユーロなどの通貨と交換ができる通貨です。あくまでも暗号化されたデジタル情報であり実態がないことから、仮想通貨と呼ばれています。
円やドルなどの通貨は各国の政府や中央銀行が発行・管理しているのに対し、仮想通貨には発行者がいません。安全性を担保しているのは取り引きの参加者で、送金にかかわる情報を共通の規格に基づいてコンピューター上で相互にチェックしています。
現在、仮想通貨と呼ばれるものには、ビットコインを筆頭に、イーサリアム、ライトコインなどがあります。概算値の時価総額としてビットコインが5兆円、イーサリアムが2.3兆円、ビットコインから分裂したビットコインキャッシュが0.8兆円という市場です。仮想通貨全体では合計10兆円ほどの規模ですが、新しい仮想通貨は続々と誕生しており、その数は1000種類以上とも言われています。
仮想通貨の取り引きや発行はどうなっている?
ビットコインを例にとってみましょう。
世界中で行われているビットコインの取り引き、すなわち、どの口座からどこの口座に、いつ、いくら送金されたかについての取引履歴は正確に記録・保存することが求められます。この履歴はネット上で公開されているので誰でも見ることができますが、それを行っているのが記録発掘者と呼ばれる不特定のIT技術者です。「ブロックチェーン」と呼ばれるシステムを技術的に維持することで、ビットコインの取引履歴を記録しています。
ビットコインの取り引きを世界中で監視し、その取引内容を最も早く計算して確定した技術者に対しては、ビットコインによって一定の報酬が支払われます。この報酬は新規に発行されたビットコインで支払われます。つまり、ビットコインの新規発行はこの時点でしか起こらないのです。ビットコインの新規発行は、金を発掘することになぞらえて「採掘=マイニング」と呼ばれています。
このマイニングによって発行されるビットコインの量は無限ではありません。急激なマイニングで発行量が増えてインフレが起こらないよう設計・調整されています。さらに、ビットコインは発行量の上限がすでに決められています。2140年までに発行されるビットコインの総量は2100万ビットコインで、それ以降は発行されることがないのです。
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