調達改革や調達戦略は次第に事業戦略や製品戦略とアラインしないと意味がなくなってしまいました。 特に従来型の量産、カスタマイズ型調達戦略の先進事例である自動車業界での事例を多くの他業界に当てはめることに無理が生じてきていることに皆が気付き始めています。
これは業種や事業の違いだけではありません。例えば自動車は従来の調達戦略から転換しパッケージ品の購入が増えています。これは量産、半量産の他業界でも同様です。購入品目によってはパッケージ品の調達になるため、カスタマイズ品とは異なった優先度や重要度で購買をしましょうということになります。
以前調達革新大会で話を聞く機会がありましたが、コマツのコンポーネンツ戦略はAコンポ、Bコンポ、Cコンポに分類し、Aコンポは基本内製及び準内製で技術を囲いこむ、Bコンポはパッケージ型調達戦略によりグローバルで最適なサプライヤを囲いこむ、Cコンポはカスタマイズ型の加工品であり、ローカル毎に調達を行うという事例の紹介がありました。これらの調達戦略は個別に策定されているのではなく、事業戦略や製品戦略、技術戦略、生産戦略と調達戦略が連携していることでこのような調達戦略が立てられるのです。
このように事業ごと、製品ごと、もっと細かく見ると製品の構成(購入品)毎に求められる機能・要件が異なります。その機能・要件に合わせた調達戦略と調達の実行が求められるのです。
業種別にはエンジニアリングやプラントなどの受注生産型事業では受注案件毎に異なった調達戦略が必要になってきます。このような受注生産型事業では調達の上流関与が欠かせなません。営業段階や開発などの上流段階でどのようなコンポーネント戦略をとるかを営業部門、技術部門、製造部門と摺り合わせ、調達要件を明確にし、その要件を満たす調達戦略と調達実行が必要になり
ます。
またこのようなコンポーネント戦略に基づく調達戦略、調達実行を実現できる仕組み、プロセス、体制が必要です。つまり今後の調達部門に求められる要件は『多様化』していきます。「集中購買」「サプライヤ集約」「競争化」などのキーワード型調達改革はもう成り立たなくなります。また求められる機能・要件が多様化すればするほど、組織全体として対応するための「考える力」が求められていくのです。
これが「キーワード型改革からの脱却」「考えられる力」が求められるということでしょう。
また前提となるのは、事業戦略、製品戦略、技術戦略、生産戦略と調達戦略のアラインです。このアラインがない独立した調達戦略で言われたことだけやっている調達改革は全く意味を持たなくなります。決まられたものをQCDのバランスを取り、勘と気合で買ってくる時代はもう終わったのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。