OJTでもOff-JTでもない。『OCT(オン・ザ・チャンス・トレーニング):機会の中でヒトは自ら育つ』というのがホンダのDNAである。
【ピンときた!コンセプト:PIN !-cept #2】=======
昨年冬、ホンダにうかがったとき、
“OCT(オン・ザ・チャンス・トレーニング)”なる言葉を聞きました。
「人は育てられるのではない、自ら育つ」というスタンスに立ち、
会社側はそのための環境とプロセスを整えること、
これがホンダの人財育成の根本思想だというのです。
確かに、ホンダの歴史をみても、
例えば、1959年(創業11年め)、伝説の「マン島TTレース」参戦では
メカニックもライダーも全員20代。
人選も「やりたいやつは手をあげろ!」「はいっ!」で決まったといいますし、
同じく59年、30代の一課長(白井孝夫氏)に
鈴鹿工場建設のすべてが任されました。
白井課長は、その勉強のために
「おまえ、しばらくヨーロッパに行って来い」と本田に言われたそうです。
またホンダの有名な文化として、
『三現主義』
・現場に行け
・現物、現状を知れ
・現実的であれ
『自己申告主義』
研究や開発は、アイデアを出した人がそのテーマの責任者となる
いわゆる“言い出しっぺ”がリーダー
こうしたことがベースになって、
「チャンスの中でヒトは勝手にしぶとく育っていく」という
思想がホンダに根を張っているのだと思います。
これは思想であって、
育成戦略とか、戦術とか、施策などという
何か仰々しく、カッコつけて実行しているものではなく、
組織体に染み込んだDNAなのでしょう。
大本である本田宗一郎も
・「創意発明は天来の奇想によるものではなく、
せっぱつまった、苦しまぎれの知恵である」
(だから人を2階に上げておいて、はしごをはずせば、いい知恵がわく)
・「見たり聞いたり試したりの中で、試したりが一番大事なんだ」
・「やりもせんに」
(やりもしないで、机上の知識でものの可否を断ずるな)
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私は新卒で最初メーカーに入り、商品開発を担当しました。
入社時からいきなりプロダクトマネジャーとして、
企画から試作品、デザイン、製造、流通、広報・広告まで、
それぞれの工程の専門スタッフをチーム化して、夢中(霧中)で働きました。
振り返るに、ここでの3年弱の経験が、
その後の私の全てを育ててくれたといっても過言ではありません。
職業人として何年も経ってから、
やれP/L・B/Sだとか、マーケティングだとか、
SWOTだの5 Forcesだの戦略論の勉強をやりましたが、
どうも、現実味の迫力に乏しく、
一つ一つの知識が「ギスギスとやせて」いて
腹ごたえがないように思えました。
(頭をクリアに体系的に整理し直すという意味では、有意義です)
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2007.06.19
2007.06.28
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。