/産業革命は、実際に機械を作るために必要な規格品互換ネジが大量生産されてこそ始まった。それで、ネジは「産業の塩」と呼ばれるが、長年の惰性や、材質の勉強不足、製造や修理の途中の工程に対する理解不足で、いま、かえってトラブルの元凶となってしまっている。/
組織としても、設計と現場を繋ぐ「ネジ」が劣化している。製造や修理の現場からのフィードバックをきちんとすれば、根本から設計思想を改善できるものは、我々の身近にかなり多い。サービスやコミュニケーションでも同様。ネジを、書類や連絡、会議に置き換えてみれば、よくわかる。いまだに紙で会議書類をプリントアウトして綴じて配って回収したり、緊急の伝言メモを帰社して机につくまで読めなかったり、わけのわからない掛け声だけでデタラメの決算書類を大量に捏ち上げていたり。
その書類、その連絡、その会議、ほんとうに必要? ほんとうに適切? ほんとうに大丈夫? 産業革命から二百年。ネジも、組織も、劣化してきている。とくに日本は、惰性がひどい。天井板が落ちてくる前に、ネジを見直し、締め直そう。
(by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。著書に『死体は血を流さない:聖堂騎士団 vs 救院騎士団 サンタクロースの錬金術とスペードの女王に関する科学研究費B海外学術調査報告書』『悪魔は涙を流さない:カトリックマフィアvsフリーメイソン 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』などがある。)
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2009.10.27
2008.09.26
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。