営業利益率50%強、日本の製造業ではダントツの高収益を誇るキーエンス。同社はまた、30歳代で1300万超のスーパー年収でも知られる。謎に包まれた実態に迫るため同社から話を聞いた。
第三回
「人を選び、人を育てる」
「営業マンは社内にいることが多いですね。時間があれば少しでも外回りして来い、などというリーダーもいませんから(キーエンス経営情報部)」。
■外出しない営業
平均すれば週に2日、多くても3日まで。これがキーエンス営業マンの平均的な外出日数だ。これまた意外なことに同社の営業は決して毎日、外回りをしているわけではない。普通の会社であれば営業マンが昼間、社内に残っていればサボっていると見なされるだろう。そんな暇があったら、得意先の一軒でも顔を出して来いと上司から叱責されるのがオチである。
ところがキーエンスはまったく逆である。はっきりした目的もなく顧客を訪問することを良しとしない。なぜなら「目的のない訪問は相手の貴重な時間を奪うだけ」と考えるからだ。従って単なるあいさつ回りだけで客先に行くことはなく、「無駄な外出はやめよ」が同社営業の合言葉だ。
では営業マンは社内で一体何をしているのか。一つには顧客から寄せられるさまざまな要望への対応である。こうした要望は電話やメールなどの対応で済ませられるものと、実際に顧客のところに出向いて話をすべきものに大別される。面談する必要がある要望については、的確に応えられるよう提案書などを準備しなければならない。この準備にしっかりと時間をかけるのがキーエンス流の営業である。
また次々と開発される新商品については、スペックはもちろん各機能が生み出すことのできる顧客価値についても熟知しておかなければならない。営業マンは学習のためにも相当な時間を取っている。
キーエンスの営業マン教育で重要な役割を果たしているツールがガイホウとロープレである。ガイホウとは外出報告書のこと、顧客訪問をした日には必ず上司にその内容を報告する。客先の要望は特定のシートに記されて企画・開発部門に送られる。この現場情報がキーエンスの卓越した商品開発力の種となる。
またロープレといえば通常は、顧客訪問前にプレゼンテーションのシミュレーションとして行なわれることが多い。同社でももちろん事前ロープレは行われているが、ユニークなのは事後ロープレである。
キーエンスでは情報・ノウハウの共有が重視される。だから営業での成功事例も必ず共有する仕組みが作られおり、それが事後ロープレである。どのような営業活動、セールストークやプレゼンテーションが成約に結びついたのかをロープレで再現し、営業チーム全体で追体験するわけだ。これが極めて効果的なセールスOJTとして機能する。
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FMO第4弾【株式会社キーエンス】
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