キャリアを考えるとき、多くの人が振り返りにおいては何故そのようになってきたかが判然としない、展望においても理想論で地に足が着いていない感じがするといったことになりがちである。
四つ目は、自分の育ちである。親の姿や教育方法など幼い頃の身近な環境は、いくつになっても染み付いてとれないほどの大きな影響をそれぞれに及ぼしている。年をとって自分を客観視できるようになってくると、「親に似ている」と実感する人が多いのはその証左である。会社選びにおいても、親の仕事や仕事ぶり、親の会社観・仕事観と無関係という人は(反面教師的にしている人も含めて)少ない。人づきあい、職場での振舞い、出世欲、金銭感覚、商売っ気、困難への取り組み姿勢などの違いは、育ってきた環境に少なからず影響された結果だ。だから、育ちという原点を見つめなおすのも、キャリアを考える際には有効である。
最後に、自分の素質である。行動や思考の特性、能力的特徴や有無、得意・不得意な分野、好き・嫌いと感じることなども、そう変わるものではない。大きなフレームで物事を考える癖のある人が、急に細かな点に気付けるようになったりはしないし、フットワークの軽かった人がいきなり思慮深い人間になったりもしない。様々な仕事の結果やキャリアの軌跡はこれらの特性や能力が原因の一つなのであり、自分の素質について大雑把でも仮説であっても考えておいたほうがよいだろう。教育研修
2011.05.06
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2017.07.24
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。