私の事務所の最寄り駅、 丸の内線の「本郷三丁目駅」そばに、 「海鮮居酒屋 はなの舞 本郷三丁目駅前店」 が昨年末オープンしました。 現在も毎日店員さんが店頭で呼び込みをやってます。
同店は文字通り駅前にあります。
改札を出て店の前まで約50歩、所要時間30秒程度でした。
(ざっくり調べてみました・・・)
「はなの舞」は、多様な業態の飲食店を開発・運営する
チムニー(株)の主力業態。
出店場所は、駅から徒歩1分以内にこだわっています。
おかげで、近年の飲酒運転に対する規制強化による
マイナスの影響を免れています。
このため、過当競争が常態化していることに加えて、
飲酒運転問題で来店客が減少したことによる業績低迷に
苦しむ現在の居酒屋業界において、
チムニーは順調に売上・利益を伸ばしています。
(日経MJ、08/01/09)
昨日、三品和広氏(神戸大学大学院経営学研究科教授)の
実証研究の結果をご紹介しました。
三品氏によれば、
上場企業1013社のうち、持続的な成長を続け、
過去最高益を何度も更新した「優良企業」122社の成功のカギは、
独自の「事業立地」(誰に何を売るか=ポジショニング)
を選んだことでした。
居酒屋のようなリアル店舗事業では、
「店舗立地」
が文字通り、
「事業立地」
を決定する最大の要因になりますよね。
はなの舞の場合、
「駅前立地」
を選択しているため、主要客層(誰に売るか)は、
近隣に勤める仕事帰りのサラリーマン(あるいは学生)
となります。
駅前立地の場合、繁華街立地と異なり、
広範囲からの多数の集客が見込めません。
また、郊外立地のように、
家族でやってくるファミリー層も狙えません。
したがって、はなの舞では、
比較的狭い商圏の中での特定の顧客層のニーズを
敏感に捉えつつ、固定客比率を高めるためのアプローチ
が求められます。
となると、チェーン店とは言え、
昔ながらの個人経営の居酒屋のスタイルに
近づける必要がありそうですよね。
そこで、具体的な販売戦略(何を売るか)を見てみると、
・海鮮品を主力に据えたアピール
・各地域の食材や嗜好を反映した地域別8種類のメニュー構成
・店内調理による味の向上
・年10回近いメニューの入れ替えによる、顧客の「飽き」の防止
など、確かに個人経営店に近い取り組みです。
また、空間に癒しや遊びの要素を取り入れて、
来店客に楽しい時間を提供するためため、
・オープンキッチンによるシズル感の醸成
・水槽を置くことによる新鮮さのアピール
を行っています。
なるほどなるほど。
「はなの舞」の業績好調の理由は、
やはり優れた「事業立地」の選択にあることがわかりますね。
実は、本郷三丁目駅前店にはまだ行けてません。
(他の場所の店には行ったことがありますが・・・)
頭で分析するだけでは不十分ですよね。
早いとこ実際に行ってみて、
はなの舞の「事業立地」を五感を駆使して
再確認してみたいと思います。(笑)
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2008.01.18
2009.02.10

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。
