原材料といっても十羽一絡げとは言えません。コモディティ化しているものと非コモディティを選別し、市場構造の中で特に供給側の状況をウォッチしておく必要があります。
一方で鉄やステンレスなどの需給バランスの決定要因はあくまでも日本市場での範囲で捉えるべき品目です。これは日本企業の生産品目に競争力があるため、コモディティ化していないことによります。中国産のステンレスは錆びるし、中国産の鉄は板厚が安定していない、これは今も変わりません。日本の企業は日本メーカーの原材料を購入せざるを得ない状況なのです。ですから、これらの品目は日本市場での需給バランスや市場構造を前提に考える必要があります。日本市場での川上産業は大手企業の寡占状況です。
売り手が強いマーケットとも言えます。これらの品目は原材料の市況動向等の影響を受けつつも市況動向は比較的安定しているでしょう。中国経済の影響も他のグローバル資材程には受けずに、コモディティ化しているグローバル資材に比して変動は大きくないと言えます。
このように原材料と言ってもそれぞれの市場構造や品目の特徴、コモディティ化の程度により市況動向や価格の変動因子は変わってくるのです。変動因子が変わればもちろん各企業のバイヤーの取るべき行動も変わってきます。コモディティ化しているナフサなどは市況変動を理解した上で、プレミアムと言われるような固定部分の交渉を如何に進めるかが重要なポイントになります。また、何をどこからいくらで、だけでなく、いつ買うか、どれくらい買うか、というのも重要な判断業務となってくるでしょう。
鉄やステンレスなどは国内における大手の需給家の価格決定情報を踏まえて適正な価格決定ができるかどうか、が求められますし、買い手としての魅力度を高めることが求められます。
このように各品目毎に価格予測の手法や変動因子も様々ですが、共通して言えることは市況や景況をウォッチしタイムリーに情報を入手すること、その情報を元に適切な分析をすること、また判断をすること、経営や社内に対し付加価値のある情報提供をおこなうこと、このような機能が調達購買部門には今後一層求められていく、ということです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。