評価者研修を充実させる 繰り返しますが、人事評価制度がうまくいくかどうかのカギを握るのは、評価者です。評価者が優秀であれば、一般的な人事評価表を使ってもうまくいきますし、評価者が優秀でなければ、どんなに人事評価表を作りこんでもうまくはいきません。そういった意味で、評価者のレベルアップは非常に重要です。
少し前に、「評価傾向」について述べました。よく耳にする「ハロー効果」
「寛大化傾向」「中心化傾向」「対比誤差」などです。
私共が行う評価者研修でも、これらについて説明し、評価者に注意を促します。
研修の受講者も、「なるほど」という表情で聞いていますが、自分がどんな
評価傾向を持っているかは理解できていないようです。
それらを客観的に伝えるには、評価結果を集計・分析し、それぞれの評価傾向
を他人と比較するのが効果的です。人事評価結果をオープンにしていない会社
では難しいですが、ある程度オープンにしている企業では可能です。
分析するにあたっては、評価者自身が下した評価について、下記の2つを確認
します。
観点①...のべ評価項目数(=部下の数×評価項目数=)のうち、どの評価評語
に何割が配分されているか
(例)各評価項目を1~5点で評価するなら、
1点=○%、2点=○%、3点=○%、4点=○%、5点=○%
観点②...部下の自己評価(実施している場合に限る)の点数について、アップ
させたか、ダウンさせたか、維持したか
(例)部下の自己評価点を引き上げた=○%、
引き下げた=○%、変えなかった=○%
こうやって可視化していけば、例えば「中心化傾向」なら観点①において3点の
割合が増えますし、「寛大化傾向」なら観点①において1・2点より4・5点の
割合が増えます。
また、「厳格化傾向」なら観点②において部下の自己評価点を引き下げる傾向が
強く出るかもしれません。これらを他の評価者と比較すれば、自分がどんな評価
傾向を持っているのか、より理解しやすくなります。
ただし、分析においては、(1)部下の自己評価が高過ぎないか、低過ぎないか、
(2)部下の仕事レベルが相対的に高過ぎないか、低過ぎないか、
(3)評価項目の記述内容に大きく影響を受けていないか、等を確認する必要が
ありますが、しっかりと分析をすると、評価者自身に良い気づきを与えられます。
一度、お試し下さい。
多面評価(360度評価)の活用①
「部下が上司を評価する仕組みを検討したい」
という相談を受けることがよくあります。色々と議論する中で、人事評価制度として
活用することはほとんどありませんが、活用できる事例もあります。
これから何回かに分けて、上司が部下を評価する以外の評価(多面評価、360度
評価)について述べていきます。
まず、多面評価を人事評価として機能させる上で難しい点について挙げてみましょう。
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