人事評価の目的は、「処遇」と「教育」への活用です。「処遇」については、賞与や昇給、昇格などに活用している企業も多いですが、「教育」については如何でしょうか?
人材育成においては、結果ではなくプロセスの改善を行います。プロセスを評価す
るのであれば、リーダーシップを構成する要素を抽出する必要があります。
例えば、方向性を示せるか、強い想いを持っているか、率先垂範しているか、部下の
仕事レベルや個性を理解できるか、必要なモチベーション施策を打てるか、等になり
ます。「君はリーダーシップ力が不足しているから磨きなさい」と言われても、
漠然とし過ぎていて部下は理解できません。すなわち、成長にはつながりません。
「企画力」も同様です。ましてや、「判断力」なる評価項目は、それが備わっている
なら「全ての仕事が完璧にできる」と一言で集約できるほどの評価項目です。
あえて設定するなら構いませんが、何気なく設定しているのであれば非常に評価
づらい項目です。
是非、貴社の人事評価表をチェックしてみて下さい。
(やる気 + 能力 + 意識) × 行動 ⇒ 成果
人材が成果をあげるための方程式を説明する場合、このような公式を使うことがあり
ます。意味としては、
「やる気があっても、能力が高くても、意識が高くても、行動しなければ成果は
生まれない」
という考え方で、ともかく行動量を重視しようというものです。
能力の高いベテラン営業社員が、入社したての新人営業社員に、成績で負ける場合が
あります。多くは、ベテラン社員の行動量不足(安全志向、見切りの早さ等)に対し、
新人営業社員の豊富な行動量(怖いもの知らず、必死のアピール等)が優るためです。
こういった事例を思い起こしても、やはり行動は重要であり、上記の方程式で示すよう
に唯一の"掛け算"と考えられます。
では、こういった考え方を人事評価表に落とし込むと、どんな評価基準に
なるでしょうか?
【評価項目】 コミュニケーション(低等級者を想定)
【評 語】
D:社内コミュニケーションに対する意識が低く、業務に支障をきたしている
C:期待レベルに対し、コミュニケーション量が少ない
B:概ね期待レベルのコミュニケーション量である
A:期待レベル以上のコミュニケーション量を確保している
S:コミュニケーションにより、円滑な組織運営に貢献できた
業務に支障がある場合にD評価を使い、成果性が目に見える場合にS評価を使います。
その他、真ん中のC・B・A評価については、目に見える行動量の多さを3段階に
振り分けています。もちろん、コミュニケーションは量だけでなく質も重要ですので、
例え量が少なくても、「円滑な組織運営に貢献できた」状態であればS評価となります。
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