クラウドERPは何をもたらすのかを考える、第3回目です。 今回はERPのクラウド化によって、導入を支援するコンサルタントはどのような変化と対応を求められるかを考察してみたいと思います。
課題を分析し解決策を出す、Factベースだけではなく、仮説を立て検証する仮説ベースのアプローチが有効ということです。
■ 特定パッケージ知識依存からの脱却
これは今に始まったことではないですが、クラウド化の加速により、特定のパッケージ知識に依存したサービスや導入アプローチは付加価値が大きく低下していくはずです。
SAPを導入=SAPの機能を使う ⇒ 各モジュールの専門知識が必要ということで、「私はSAPのFIが出来ます」「MMの経験があります」といった、 コンサルタントと称する仕事からすると何とも寂しい自己紹介がまかり通っていました。
これからは多くのソフトウェア機能がクラウド上で提供されるようになり、ソリューションも多岐にわたります。
より多くのソリューションに対する知識を得られるように日ごろからアンテナを張り、その中から最適なものを取捨選択して、クライアントに最もあったシステムを構築する能力が大きく問われることになると考えます。
■ 導入・ロールアウトアプローチの変換
当然、導入にあたっては主管部門があります。
経営企画の場合もあれば、IT部門が予算を持ってユーザ部門と調整しながら導入していくケースもあったり、会計モジュールのみの導入であれば経理が主管部門であったり、といった具合です。
いずれにせよ、意思決定が主管部門にゆだねられるのですが、クラウド化が促進していくと、他部門が自部門の予算で、好きなクラウド上のソリューションをライセンス契約で使用することが可能になります。
ともすれば、機能の重複やデータの不整合を招き、全体最適を崩しかねないリスクがあります。
これまでの主管部門が主導で作ったシステムを共通でユーザーに使ってもらう「コア」部分と個別の部門やユーザー固有の「フレキシブル」部分を切り分け、かつ全体で最適となるようなマネジメントが必要です。
そり多彩なニーズと要件を吸い上げて、最適なシステムを構築する能力が必要となります。
また、導入したSAPを海外の子会社に展開する、いわゆるロールアウトですが、一般的にはPilot導入した拠点の機能群をテンプレート化して各社に展開するというアプローチが一般的ですが、こちらも同様のことが言えます。
各社の要件をなるべく標準化し、テンプレートは極力シンプルで個別要件を排除することが上手なテンプレートの作り方とされてきました。
一方で、そうした一律適用アプローチは各社のイノベーションの機会を逸してしまう結果ともなりかねませんでした。
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クラウドERPは何をもたらすのか
2015.07.14
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