クラウドERPは何をもたらすのかを考える、第3回目です。 今回はERPのクラウド化によって、導入を支援するコンサルタントはどのような変化と対応を求められるかを考察してみたいと思います。
SAP S/4 HANA の登場により、各社クラうド化支援のサービスの強化に拍車がかかっているようです。
そのサービスは大きく以下に大別されます。
a) ビジネス/業務視点での導入効果評価サービス
b) 移行/導入支援
a)は主にコンサルティング会社、b)は開発環境を提供するソリューションベンダーが支援しているケースが多く、開発環境をクラウド化し、PaaS/IaaSとして提供することで、移行をスムーズにしようというものです。
各社自社の強みを生かしてサービスを構成していますが、
ビジネスコンサルティング会社とソリューションベンダーと提携し、a),b)双方を統合したサービスを構築していく傾向にあると思われます。
本シリーズで何度も申し上げているように、新しいものにすぐに飛びつくのではなく、投資対効果をきちんと把握することが重要です。
したがい、本稿では主に(a)を主眼において書いてみたいと思います。
S/4 HANAに代表される高度なクラウド技術を前提とした大型パッケージの登場は、
導入を支援する側にとっても以下のようなパラダイム変換が求められると私は考えています。
1. 課題解決型思考 ⇒ イノベーティブ思考
2. 特定パッケージ知識 ⇒ 複数ソリューションの取捨選択/組み合わせ能力
3. 導入・ロールアウトアプローチ ⇒ コア+個別 統合アプローチ
順に説明していきましょう。
■ イノベーティブ思考へ
これまでのERPの導入は、まずは導入企業が抱える課題を抽出/整理し、
業務を標準化されたERPの機能に当てはまることで、BPRを実施するというアプローチでした。
しかし、今後のERPが広がっていく可能性を考えると、「現在把握されている課題を新しいテクノロジーで解決できるか?」という、負⇒ゼロ のアプローチだけでなく、「新しいテクノロジーによりどのような業務変革を起こせるか?」という、無⇒プラス のイメージの思考アプローチで考えることが必要です。
- これまで使われていなかったデータを活用 (ビッグデータの活用)し、新しい視点でのレポーティングを実現し、経営/業務判断に活用出来ないか?
- データのリアルタイム性やアクセスのモバイル性を高めることで、これまでなかったようなサービスや業務改革が実現できないか?
- 見込み生産から受注生産に切替え、大幅に在庫を減らせないか?
と、いったように、高速DB、SaaS、クラウド環境を生かした外部データ連携等の特徴を生かして、新しい大きなイノベーションが起こせないかを考えていくことをしなければHANAやクラウドへの切り替えといった、労力もお金もかかる方向に、クライアントが踏み出すような支援を出来ないと思われます。
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クラウドERPは何をもたらすのか
2015.07.14
2015.07.27
2015.08.31