SaaSやクラウドという言葉を頻繁に見かけるようになって久しいですが、その進化は大企業の基幹システムの在り方まで変えようとしています。 ERPのクラウド化はその導入企業や導入ベンダー、コンサルタントにどのようなインパクトを与えるのかを考察します。
SaaSやクラウドという言葉を頻繁に見かけるようになって久しいですが、
ASPの進化版としてSaaSという言葉が使われるようになったのが2005年くらいでしょうか。
その頃のSaaSというとSalesforce.comに代表されるSFAツールや中小企業向け販売管理や会計ソフトの提供といった規模が主流だったと思います。
あれから10年の月日が流れ、クラウドコンピューティングは着実に進化し、いまや大企業がグローバルで運用する基幹システムにまでその効力を発揮しようとしています。
そんな中、SAP Business Suite 4 SAP HANA (以下 S/4 HANA) という新製品を今年発表しました。
CEO自ら「「R/3発表以来の23年のSAPの歴史の中で、おそらく最も大きな製品の発表となるだろう」と いうほどの力の入れようです。
これはSAPを既に導入している企業、現在Roll-outしている企業、私のように導入のお手伝いをしている者にとってどういう意味を持つのかをこの場で書いていきたいと考えています。
この記事は決して、SAP製品の解説やその素晴らしさを訴えるものではありません。
S/4 HANAを例として、ERP導入企業の方たち、そして何より自分自身もコンサルタントとして今後何が求められてくるのかを皆さんと一緒に考える。そんな場になれたら、と思います。
本製品の主な特徴とは、
・インメモリデータベースである SAP HANA を専用データベースとして使用していること
・クラウドサービスによる提供形態オプション
・HTMLベース UI
ということです。
まずは本題に入る前に、
「クラウド」「SaaS/PaaS/IaaS」「インメモリデータベース」
とは何かを改めて整理したいと思います。
クラウドとSaaSの違いや定義については人によってその解釈が微妙に異なる点もありますが、あまりその定義をあれこれ論じるのは意味がないと思います。
クラウドというのは、ネットワークを介してオンデマンドで利用できるソフトウェアやサービス自体およびそれを提供するための仕組み、運用の総称、SaaS/PaaS/IaaSはそうしたクラウドコンピューティングの仕組みのなかで提供/利用されるソフトやサービスを、アプリケーション、プラットフォーム、インフラといった利用するレイヤーで分類したものです。
概念的には以下の図のようなものととらえておけばよいと思います。
次のページSaaS による機能拡張が容易に
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
クラウドERPは何をもたらすのか
2015.07.14
2015.07.27
2015.08.31