「自費出版」の草分け:新風舎が民事再生法適用を申請した、というニュースが先ほど飛び込んできました。 もう少し、ほんのもう少し、「自費出版」という出版物に対して、読み手も受け手も知見があれば、ひょっとしたら防げたかもしれないー そこに「寂しさ」を感じました。
以下、毎日jpからの引用です。
自費出版大手の出版社「新風舎」(松崎義行社長、東京都港区)が事実上倒産したことが分かった。7日午後、東京地裁に民事再生法の適用を申請する。負債額は約20億円で、関連会社の新風ホールディングスを含めると約25億円。新風舎によると、印刷会社の支援が既に決まっているといい、現在出版契約をしている約1100人の書籍制作を含め事業を継続しながら再建を進めていく。債権者向け説明会は9日に開く。
新風舎は80年創業。自費出版業者の草分けとしてセミナーや相談会、さまざまな出版コンテストなどを開催して急速に知名度を上げた。
同社が昨年末、債権者に送った文書によると、一部マスコミ報道による批判などから売り上げが急落し、債務支払いが滞ったという。同社は昨年7月、絵本や自伝を出版した複数の著者から「書店に並べて宣伝、販売するという契約と異なり、わずかな冊数しか店頭に並ばなかった」として提訴されている。
「出版年鑑2007」によると、05、06年は新刊書籍発行点数(2719点、2788点)が2年連続で講談社を抑えて1位となっていた。帝国データバンクによると、ピークとなる06年8月期の年売上高は52億8600万円を計上していたが、昨年同期は46億1700万円に減少。最終純損失は4800万円になった。
===(引用終わり)===
いろんな意味で「寂しい」という思いが募る記事でした。
自費出版について、思うことを3点ばかり、つらつらと。
1.(読み手として)自費出版で出されている本の内容には、説得力に欠けるものが多い。加えて、詐欺まがいのものも結構あることを知っておくべき。
日本の新刊出版点数は、1990年に4万点、1996年に6万点を超え、2006年度は8万点を超えています。
若者の活字離れが進んでいることもあわせて、かつてより「ベストセラー」が生まれる可能性が低くなっている事実が、ここにあります。
そんな中で出版社の担当者の中には、「数打って当てていくしかない」という方もいらっしゃるでしょうが、僕の知っている(出版社の)編集者のほとんどは、以前より出版企画を見る「目」が肥えてきています。
売れる本作りに必死なんですよね。生活がかかっていますから。
つまり、それくらい「本にする」までの執筆能力に求めるハードルが高くなっている現状の上に、本になってからも他書籍との競争で、「売れる」までのハードルが高くなっている。
そんな環境の中、「自費出版」で「本にする」ハードルを低くした書籍の内容は、読んで得られる知見が薄いものの方が多い、と見た方が妥当ですよね。
「編集者に見てもらって企画倒れに終わる」より「編集者を通さず自費で出版し書籍と言う形に残すことを優先した」わけですから。
次のページ2.(書き手として)自費出版をしてくれる会社に「書店に...
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