日本における女性の管理職比率は、世界各国と比較して極端に低いレベルに留まっています。日本の女性管理職の比率は、米国の1/4、英国の1/3程度の水準に留まっており、現状においては、「日本企業は、女性を管理職に登用することに無関心である。」といわれても仕方のないレベルにあるといえそうです。果たして、この現状を解決するための「特効薬」は、存在するのでしょうか?
よって、保育所の増設などの「衛生要因」を改善する施策を講じるだけでは、多くの女性が管理職を目指すためのインセンティブとしては弱いと考えられます。
保育所の増設を推進することやワークライフバランスを推進することは、極めて重要ですが、短期間で女性管理職を急増させるという点においては、これらの施策に併せて、各種調査で挙げられた項目の問題解決につながる施策についても、検討する必要がありそうです。
■女性のマネジメント能力向上を目的とした教育環境の提供
筆者は、管理職候補者を対象とした企業研修やセミナーで指導する機会があるのですが、事前のアンケートに、「私でついていけるかどうか心配です。」といった趣旨のコメントをされる女性参加者が、毎回数名ほどおられます。
しかし実際に研修やセミナーに参加すると、ついていけないどころか、グループ演習などの際にリーダーシップを発揮する女性が多いことも事実です。筆者は、女性には真面目な人が多く、男性以上に研修やセミナーに真剣に取り組む傾向が見られるため、研修やセミナー等における知識の吸収が早いことが、その理由のひとつだと考えています。
また管理職への昇格を望まない理由として、「責任が重くなる」と回答している女性が多いのですが、これは「現時点で、自分自身のマネジメント能力に自信が持てないので、管理職に期待される役割を果たすことができず、周りに迷惑をかけることが心配だ。」と思いこんでしまっている女性が多いからではないか、と感じています。
そこで企業や団体が、管理職が務まる能力を持ち合わせていながらも、「責任が重くなるから管理職になりたくない。」などと考えている女性に、「マネジメントに関する知識やスキルを習得できる教育環境」を提供した場合、マネジメントに関する知識やスキルが向上するにつれて不安が薄れ、「私でも管理職が務まりそうだ。」という自信をもつ人が、確実に増えるはずです。
併せて女性管理職比率が低い理由として「管理職に必要とされる知識・スキルをもつ女性が少ない。」と回答している企業が多いことから、女性社員に管理職として求められるマネジメントに関する知識やスキルを習得できる場を提供する施策は、「女性管理職に必要とされる知識・スキルをもつ女性の絶対数の増加」が実現するため、企業にとっても望ましい状況が生まれるものと予想されます。
■外部教育機関に派遣する女性社員数にも「数値目標」を
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2009.02.10
2015.01.26
川崎 隆夫
株式会社デュアルイノベーション 代表取締役
経営コンサルタントの川崎隆夫です。私は約30年にわたり、上場企業から中小・ベンチャー企業まで、100社を超える企業の広告・マーケティング関連の企画立案、実行支援や、新規事業、経営革新等に関する戦略計画の立案、企業研修プログラムの策定や指導などに携わってきました。その経験を活かし、表面的な説明に留まらず、物事の背景にある真実が浮かび上がってくるような、実のある記事を執筆していきたいと思います。