組織文化が変われば究極の組織変革が実現したことになります。では、文化が変わるとはどういうことでしょうか?
文化が変わるとは、事実への意味付けが変わることであり、その触媒となるのが物語(ストーリー)であり、物語を語るコミュニケーション様式、すなわち「対話」こそが組織変革の原動力になるとまとめられるでしょう。
さて、この「対話」を前向きに駆動させるさらなる原動力とは何か?単に経験談を共有するだけでは、単なる体験の繰り返しに過ぎません。振り返り、つまり内省(Reflection)がない体験の繰り返しは「這い回る経験主義」と言われるそうです。それに対し、ヘレン・ケラーは、Unlearn(学びほぐし)の必要を感じていました。経験し学んだことを自分の中で解きほぐす行為が必要だということでしょう。そのためには、自らが経験したことから原則を抽出する力(表出化)、一般化された原則を自分の状況に適用する力(内面化)の両方が必要でしょう。
ある出版社の編集者に教えていただきましたが、最近売れる本の特徴は、コツコツ君型の本だそうです。その「コツ」を教えて欲しいという読者層に受けなければならない。同じような傾向を私自身も強く感じることがあります。たとえば、物事をたとえ(メタファー)で考え、そこから原則を導いて、自分の仕事に適用するという思考が通じない!理解を促進するために良かれと思ってやったことが、全く理解されない。それよりも、要点のまとめをリストにして欲しいなどと言われる。
対話の原動力としての、原則の抽出と適用の力、大切にしていきたいと感じます。日常の生活の中でも、意識して取り組めます。たとえば、映画やドラマを見た後、学んだことを一言で話してみる。本を読んだら、手帳に学んだことを簡潔に書きとめておく。日記をつけるときは、事実ではなく感じたことや考えたことを書く。人と会って話した後は、自分が賢くなったことを書き留めておく。ニュースを見聞きしたら、自分なりに意味付けをする。などなど。できることはたくさんあります。こうやって書くのも役立っているはずと信じて・・・。
*1)「ダイアローグ 対話する組織」(中原淳・長岡健著、ダイヤモンド社2009)
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変革を科学する
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株式会社インサイト・コンサルティング 取締役
わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。