東工大の妹尾先生による知的創造論の解説によれば、「創造的な個人はいない」ということが帰結だそうです。ということは、知的創造(Creativity)とは、個人の属性ではなく、関係の属性であると捉える必要があります。だから、知的創造の場を作るには、個人間の相互作用が生まれる場を作るということ。
東大Learning Bar(2009年1月30日)で日本コムシスの潮田さんの話を聴きました。クリエイティブオフィスと題して、単なる環境改善ではなくワークスタイル改善を図る取り組みです。大変興味深かったのは、フリーアドレス制が単なるコスト削減やペーパレスの施策ではなく、明確なゴールを自主性(WILL)を引き出すことに設定されたことです。席がフリーということは、毎朝自ら席を選ぶ。選ぶためには考える。その時に人を意識する。誰と座れば賢くなれるか、つまり創造プロセスを実現できるか、だんだん前もって考え計画するようになる。そのうち、明日はどうするかを自主的に考える。人を意識するために、イントラネットで個人を紹介し、参照できるようにする。そうすると、隣人になり、隣人を選ぶきっかけを作ることになる。そのうち、情報検索は人によってインデックスされる。そうすると、人と人の間に相互作用が生じる。知的創造は、ジャムである。すなわち、即興。即興はわざわざ会議室に移すとダメになる。だから、その場で即興しやすい空間を設計する。暗黙知と形式知が飛び交い知の即興の場となるオフィス。よく観察すると、テーブルに4席を設けても、即興はテーブルのコーナー部分で三人組によって生じる。そうであれば、それが実現しやすい空間を作る。袖机を撤廃。テーブルと椅子は可動式。・・・
という話でした。妹尾先生は、この三人組現象を組織論的に展開しようとしておられるようです。三人目の役割として、メタ認知=当事者でなければ意味づけがしやすい、政治回避=損得の綱引きが消える、観客効果=セミパブリックな空間による客観性があるそうですが、知的創造のためには、企業教育の推進にしても職場空間の設計にしても、3という数字が鍵となるのかもしれません。
今後WPLの実装において、職場環境の設計という視点も深めて考えていきたいと思います。
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株式会社インサイト・コンサルティング 取締役
わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。