SaaSやクラウドという言葉を頻繁に見かけるようになって久しいですが、その進化は大企業の基幹システムの在り方まで変えようとしています。 ERPのクラウド化はその導入企業や導入ベンダー、コンサルタントにどのようなインパクトを与えるのかを考察します。
SaaS による機能拡張が容易に
これまでのSAPのBusiness Suiteの考え方は ERPパッケージであるECCを中心にCRM、APOといったサテライトシステムを連携させるハブ型の構成でしたが、このBusiness Suiteの全てのサテライトシステムを導入している企業は稀だと思います。
多くの企業はECC のみ、あってもAPOやCRMなどのサテライト1つにBWくらいではないでしょうか。
オンプレミス型ではユーザーがライセンス契約でソフトウェアを購入し、必要な部分をカスタマイズして使うというやり方でしたので、無駄が多くなかなか周辺のサテライトシステムの構築には踏み切れなかった企業も、オンデマンド型であるSaaS形式で、必要な部分だけを購入出来るようになれば色々なソフトウェアサービスの組み合わせによるシステム構築が可能になります。例えばCRMのパッケージには、Interaction Center, Marketing, E-Commerceなどのサブモジュールが組みこまれていますが、MobileのSales Forceの機能のみをSaaSで従量課金で購入したほうがよいという企業も多いと思われます。
ただ、SaaS型で提供されるアプリケーションは、これまでのオンプレミス型とは異なり、保守や障害対応費用が低く押させられる反面、自社の要件に完全にカスタマイズされたアプリケーションにはならないので注意が必要です。
一方、我々のような導入支援側としても、いままでのようなパッケージに対する知識や定型的な導入メソドロジーではなく、顧客企業の多様なニーズに対し、SaaS型、オンプレ型を組み合わせた最適なシステムソリューションを提案していくことが求められます。
顧客企業のビジネス要件 のコア部分とノンコア部分を見極めて、自社開発する部分とSaaS型でスピードと保守費用を重視する部分とを最適に構築していくことが重要です。
これまではモジュールカットで専門性が分かれがちであったコンサルタント達でしたが、モジュールに依存しないマッシュアップソリューションを構築するノウハウとスキルが必要となっていくことになります。
PaaSによる開発プラットフォーム
そして、導入側、ベンダー側として注目すべきは、PaaSとして開発プラットフォームが提供されている点です。
つまり、導入企業の自社サーバーによる開発環境ではなく、クラウド上に展開されたSAPの開発プラットフォームで既存ERPと連携するアプリケーションを開発したり、クラウド上に新しいアプリケーションを開発したりすることが可能となりました。
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