GEが今、GEキャピタルを手放す理由

画像: GE Report

2015.06.01

経営・マネジメント

GEが今、GEキャピタルを手放す理由

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

GEが長年の懸案、GEキャピタルの売却を公式に発表した。そのスケールもインパクトも例外的だが、意図はこれ以上ないほど明確である。

例えば航空機分野では、エンジンに備えられたセンサーや通信システムを通してエンジンの稼働状況と調子が刻々とGEおよび顧客の間でシェアされて、不調の前兆が把握され、航空会社における保守点検の優先項目やタイミングが調整判断されるところまで来ている。

この結果、GEがIndustrial Internet戦略を推し進める大型機器の製造業分野では、単なる機器の価格競争や人海戦術のサービス合戦ではなく、顧客のビジネスにとって付加価値をもたらす度合によって機器ベンダーの評価、ひいては将来のビジネス機会が変わってくる方向になりつつある。それを主導しているのがGEなのだ。

しかもその仕組みを他のメーカーに外販し、新たな収益の柱にする体制まで整っているのだ。

つまりイメルト氏がずっと狙ってきた、強く賢くたくましい製造業の代表選手に復帰する見込みが立った今、その足かせにしかならないGEキャピタルを抱えておく理由はもう存在しないということだ。これほど明確な「なぜ今か」の答は他にない。

ちなみに今後、GEが金融サービスを全く手掛けないかというと、そんなことはなさそうだ。他の電機大手が実施している程度の、機器を売るためのファイナンス手段(産業向けローン、リース等々)の提供というオーソドックスなB2B金融サービスは今後とも継続されると見られる。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/     

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