新宿伊勢丹の業績アップに最も貢献したのは誰?

画像: Zengame

2014.08.11

経営・マネジメント

新宿伊勢丹の業績アップに最も貢献したのは誰?

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

風が吹けば桶屋が儲かる。あいつらを儲けさせるつもりじゃなかったのに、という自嘲の声が…。

でも彼らの見通しは少々甘かったのではないかと思う。人々は「不便」という苦痛を毎日味わうことを嫌う。それを簡単に逃れるすべがある限り、我慢しない。

周知のように、東急電鉄が中心となっている渋谷駅周辺の再開発はまだ途中段階で、東京五輪の2020年にある程度出来上がり、27年にようやく完了する見込みだそうだ。今のような複雑怪奇で動線の悪い駅構造は、途中段階ゆえの「仕掛かり」状態だと思われる。そして最終的には乗り換えももっとスムーズになると聞いている。

きっと経営幹部の方々は「一時的には多少ほかの街に流れる人がいても、『渋谷大改造計画』が完了すれば戻ってくるさ」と考えられているのだろう。でもそれも甘い見通しかも知れない。

一旦、通勤ルートを変え、伊勢丹新宿本店でカードを作り、その周辺に行きつけの店を幾つか持った人たちは、たとえ6年後に渋谷駅周辺がもっと便利で綺麗になっても、素通りするパターンを大きくは変えないだろう。人間ってよほど不便でなければ、そう簡単に習慣を変えないから。

東急東横線と副都心線の相互直通は、東急沿線住民の全般的な利便性を上げることには成功したが、東急グループの売上を減らして三越伊勢丹の中長期的業績向上に貢献する、という皮肉な結果に終わりそうだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/     

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