「素敵なサービス」「気の利く営業」「頼れる会社」そう言って頂くためにどんな努力をすべきか?そのためには、QCD(品質・価格・納期)や知識、商品力を磨いているだけではダメだということが分かりました。お客様からの評価対象を2つに分解することで、そのヒントを見つけたいと思います。
この様にサービスの評価対象を分解してみると、お客様から評判の良いスタッフや、個人指名で依頼を受けるベテランが特に高く評価されているのは、実は成果ではなくプロセスだと分かります。
「色々と分からないことを質問したら、嫌な顔ひとつせず、丁寧に教えてくれた」
「トラブル時に小まめに連絡をくれて、安心して任せられた」
「無理かなと思うお願いでも、頑張って応えようとしてくれた」
また同様に、クレームもプロセスをミスしたことに起因するケースが多いものです。例えば「いつまで待たせるんだ!」というクレームは、待った時間に対してというよりも、何も知らされずにイライラしながら待たされたことに対するクレームだったりします。他にも、「ちょっと苦言を言ったら無礼な対応をされた!」と大クレームに発展するなんてこともよくありますよね。
実際にこんな調査結果があります。店舗サービスに対するお客様からの評価で、
・お客様が不満を覚えるポイント…ダントツで1位が「店員が無愛想」
・お客様が満足するポイント…1位が「店員の挨拶が行き届いている」ちなみに2位が「質問に丁寧に答えてくれた」
これはどれもプロセスに対する評価ですよね。
この様に見てみると、お客様はサービスのプロセスに非常に敏感なんだということがよく分かります。
■お客様はサービスのプロセスに敏感なのに
我々サービス提供者は今まで、サービスのプロセスに対する評価を高めるための努力をどのように取り組んできたか、少し思い返してみてください。多くの場合、それは「個人任せ・現場任せ」「センス・経験任せ」になっています。
サービス内容や提案内容、対応スピードなど、成果を高めるための議論は散々してきているにも関わらず、お客様からの相談対応や営業プロセス、サービス利用中の柔軟対応などについては、「各自うまくやってね」となってしまってはいないでしょうか。
我々は、「思っている以上にお客様はサービスのプロセスに敏感なんだ」ということを肝に銘じなければなりません。そして、お客様からの評価を高めるために、組織的にサービスのプロセスをどう磨き上げたら良いかを議論する必要がありそうです。
まずはプロセスにフォーカスした議論をすることが有効だと思います。しかし、もしかすると議論しただけではアクションに繋がらなかったり、現場にまで浸透させられなかったり、1度やってみてやめてしまったりと、組織的な活動にまで繋げられないかもしれません。そんなときサービスサイエンスでは、「プロセスのモデル化」をします。これは、組織的にサービスを磨き上げるためにサービスプロセスを設計するというものです。これができると、サービスや営業のベテランが、どのプロセスでどんな努力をしているのか、その知恵や工夫が浮かび上がってきます。現場の知恵や工夫は、そのほとんどが各自の頭の中や引き出しの中に隠れていて、組織的に活用できていないものです。実にもったいないですよね。
この様にサービスサイエンスは、ロジカルにサービスの本質を理解するだけでなく、現場の経験やセンスから生まれた知恵や工夫を組織的に活用することで、現場の納得感と経営貢献を両立させる理論として浸透してきています。「プロセスのモデル化」の詳しい内容については、また別の機会に触れてみたいと思います。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
2013.10.22
2013.06.26
2014.07.02
2014.05.29
2014.03.25
2014.02.22
2014.02.11
2013.02.13
2013.01.28
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新