顧客満足向上(CS向上)活動やサービス改革活動がなかなか上手くいかず悩まれている方が多いようです。こういった活動はどこでつまずくのか?そしてその対策は?このよく頂くご質問について、サービスサイエンスの視点も織り交ぜながら整理をし、活動推進におけるポイントを考えてみたいと思います。
■継続の壁にぶつかる原因その2:活動に対するモチベーションが維持できない
ようやく納得感が高まって活動が勢いよく動き始めたのもつかの間、恐ろしいことに、それが長続きしないことがよくあります。例えば、最初はメンバーで一致団結して始めたCS向上活動だったのに、忙しいことを理由にメンバーの集まりが悪くなり、いつの間にか活動が終息してしまう、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。活動のモチベーションを維持することは簡単ではないんですね。
これを防ぐには「現場への成果のフィードバック」が効果的です。現場が納得して動き出した活動が少しでも成果に繋がると、ものすごくモチベーションが高まって一気に活動の歯車が高速回転を始めるといった状況をよく目にします。活動の中に、成果を把握してフィードバックするための取り組みもしっかりと据えておくことが重要です。
但し、「成果」と言っても、CS向上や顧客増加などの成果が得られるにはやはり少し時間がかかってしまいます。そこで効果的なのは、活動を通して生まれた「小さな変化」を捉えることです。それは、お客様からのお褒めの言葉かもしれませんし、メンバーの感情かもしれません。大きな成果の手前には、小さな変化・小さな成果がたくさん生まれているはずです。それを活動メンバーで共有することで、モチベーション高く活動を進めていくことができるのです。
とは言え、小さな変化を早期に生み出すことは容易ではありません。そこでひと工夫。数々考えられる活動施策に「効果度」と「実現可能性」で優先順位を付けます。この中で、「効果度:大」「実行可能性:高」となった施策は「すぐに実行できて効果が出る施策」ということになります。これを我々は「クイックヒット」と呼んでいます。クイックヒットを最優先で実施して早期に成果を挙げることで、メンバーのモチベーションを高めると共に、周りのメンバーにも協力者になって頂くことができ、活動が加速していくのです。
このように、継続の壁を打破するためには、納得感(歯車を噛み合わせる)とモチベーションの維持・向上(歯車の回転を維持・加速)をする必要があります。そのために、共通の考え方を持つことと、クイックヒットによる活動成果の実感を、積極的に活動に取り入れることが効果的だと思います。
さて、次回はいよいよ3つ目の壁に触れてみたいと思います。
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サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新