東京・銀座の高級注文服店の熟練職人が作る 「オーダーメイドジーンズ」 はご存知ですか? お値段のほうは、最低でも1本約4万円しますが・・・ ああ、私も自分だけのジーンズ1本だけでいいから欲しい! とは思うものの、さすがに気軽に手が出る値段ではないですね。
さて、このジーンズを製造・販売しているのは
昭和22年創業の老舗テーラー、
「銀座テーラー」
http://www.gintei.com/index2.html
です。
「銀座テーラー」は長年にわたって、
名だたる政財界の大物を含む富裕層を対象に
商売をしてきました。
販売していたのは、機械を使わず職人の手によって1着1着、
丁寧に作り上げる「オールハンドメイド」のスーツのみ。
1着のお値段は、最低でも30万円から!
同テーラーが擁する職人の技術には定評がありました。
昭和30年代には、読売ジャイアンツの選手のユニフォームを
オーダーメイドで作っていたそうです。
しかし、バブル崩壊以降は業績が低迷。
売り上げは横這いが続いていました。
既製服の浸透と、欧米の高級ブランドが日本市場に
次々と進出してきたためです。
そこで、銀座テーラーでは、
旧態依然とした従来のやり方に見切りをつけ、
過去数年前で大きな戦略転換を成し遂げました。
その結果、見事事業立て直しに成功。
2006年度の売り上げは前年度比約130%増、
2007年度は同140%増と、再び成長軌道に乗っています。
この企業改革を主導した専務取締役、皆川和久氏によれば、
同テーラーでは、「オンリーワン」の存在になるために
以下の3つの基本戦略(方向性)を立てました。
------------------------------------
1.老舗テーラーとして守るべきブランドの「核心(価値観)」
これは、「30万円上」という顧客から見える(金銭的な)「価値」
の裏側にある「技術という価値」をきちんと伝えることでした。
職人の仕事ぶりを一般公開し、匠の技を目の当たりにしてもらう
「見学会」を開催したり、職人のハンドメイドによる全製造工程を
HP上で動画で閲覧できるようにしたのです。
2.ブランドの革新
本来舶来ものである洋服に日本の伝統文化を融合する新たな
ブランド「サムライ」(samurai)を開発。
生地には西陣織を採用、
ボタンには、福井県鯖江市の漆塗りが施されています。
このブランドは、いわば「和的スーツ」です。
こうした取り組みは、
従来のテーラー業界では「タブー」とされてきたことでした。
しかし、銀座テーラーではあえてタブーを破ることで、
同店のビジネスを大きく変えていこうとしたわけです。
「サムライ」は発売当初、顧客の反応もあまり良くなかった
ようですが、3年目くらいから人気を集めるようになり、
現在は売り上げの3割を占めているそうです。
次のページ3.ブランドの拡張
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。