マネジメントに正解はありません。 人を相手にする以上、答えは一つではなく、状況や相手によって常に変わります。本シリーズ「マネージャー心得」は、成果・育成・人間関係に向き合うすべてのマネージャーに向けて、現場で本当に必要な考え方と向き合い方を言語化した連載です。 部下が育たない理由、向き不向きの悩み、任せる勇気、問いかける力、学び続ける姿勢、そして孤独との向き合い方。派手なノウハウではなく、日々の関わり方を少しずつ変えるための「心得」を大切にしています。 マネージャーになってからでは遅い。だからこそ、今この瞬間から意識して学ぶためのシリーズです。
マネージャー心得シリーズvol.1
あえて育成を優先する選択
1. マネージャーの3つの使命
マネージャーの役割は多岐にわたりますが、多くの研修や実務の現場では大きく次の3つに整理されています。
1. 業績をつくる(目標達成)
2. 職場を整える(環境づくり・チーム運営)
3. 人を育てる(人材育成)
厚労省の研修資料や数々のマネジメント書でも、この3つが基本とされています。
どれも欠かすことはできませんが、実際の現場では「業績をつくる」ことが最優先されがちです。
なぜなら成果は数字で示されやすい一方、人材育成は短期的には評価されにくいからです。
2. 重要だが緊急に扱われない人材育成
人材育成は「重要だが緊急ではない仕事」の典型です。
売上や締切のように差し迫った期限があるわけではなく、放っておいてもすぐに問題が表面化しない。
そのため、つい優先度を下げがちです。
しかし、育成を後回しにした結果、部下がなかなか育たず、結局マネージャー自身の負担が増える──そんな悪循環は多くの職場で繰り返されています。
3. 本当は最優先すべきこと
本来、人材育成は「未来の成果」を生み出す最優先事項です。
短期的な成果を追うばかりでは、組織力は頭打ちになり、持続的な成果は望めません。
だからこそ、忙しいときでも 「あえて育成を優先する」 判断が必要です。
4. 苦手な人を得意にする効果
例えば、資料作りが得意な部下にばかり仕事を任せると、効率的に成果は出ます。
ですが、他のメンバーは一向に上達せず、組織全体の力は伸びません。
あえて不慣れな部下に任せると、最初は時間もかかり、完成度も十分ではないでしょう。
しかしその経験こそが成長につながり、やがて「苦手」が「得意」に変わっていきます。
5. 組織全体のパフォーマンスを高める
こうして個々の力が底上げされれば、チーム全体のパフォーマンスは確実に上がります。
人材育成は短期的には効率を下げるように見えて、実は長期的に最も大きな成果をもたらす投資なのです。
6. 短期効率と長期成果のトレードオフ
「早い・安心」を優先するか、「時間はかかるが育成につながる」を選ぶか。
これはマネージャーが常に迫られるトレードオフです。
短期効率を優先すれば、長期的に組織は弱体化する。
逆に、育成を優先すれば、未来の成果が積み上がっていく。
7. 育成を選ぶのはマネージャーの勇気
人材育成は評価されにくいからこそ、そこに踏み込むのはマネージャーの勇気です。
そして、その選択こそが組織の未来を左右します。
8. 実は部下が育たないのは…
ここまで見てきたように、人材育成は短期的には効率を落とすように見えて、長期的には組織を強くする最優先の仕事です。
しかし現場では、部下がなかなか育たない、任せても期待通りに動けない──そんな悩みを抱える上司も少なくありません。
けれど実は、部下が育たないのは、上司の育成力に原因があるのです。
この続きを、次回のvol.2でお話しします。
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2009.02.10
2015.01.26
人材育成コンサルタント、シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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