会社の中で、同僚や部下から好かれる条件は何か。気配りができるとか面倒見が良い、といったこともあるだろう。だがそれ以外にも、たとえばその人がどれだけ真剣に物事に取り組んでいるかをまわりは見ている。真剣に物事に取り組んでいる人に、好感を持たずにはいられないからだ。
「私が担当しているお客様は、多数のシステムに製品を導入いただいているので、ほぼ絶え間なく、時には並行して、新規案件やシステムリプレース、サーバリプレースの受注があります。また、1つのサーバに複数製品が同時に導入されるケースも多く、製品間連携の考慮も必要です。お客様に対してアシストが行っている全ての活動と、関わるシステムの構成を把握し、フィールドSEやサポセン担当にその情報を連携するというのが自分の役割です」と井上。社内の営業や技術支援担当者と連携し、あらゆるフェーズでお客様の相談先となり、最新情報を共有しながら全体管理を行っている。
昨年、このお客様先で、あるシステムリプレースが行われた。ところが新環境のほうが旧環境よりも起動速度が遅く、システムが安定しないという状況が発生し、お客様からクレームが寄せられた。リプレース前と同等か、それ以上の速度を維持したいと思うのは当然である。しかし、リプレースによってOSや製品のバージョンが最新のものに上がった点など様々な要因が相互に作用していたため、遅くなる原因の特定はきわめて困難だった。
「もう謝罪するしか選択肢はないと思いました。でも、原因もよくわからないまま製品を納入し、使ってください、とはどうしても言えなかったんです。この支援はハードウェアやOSもアシストが商流に入って導入していただいたので、そのパスも利用し、OS側からもとことん調査を行ってみようと決めました。そしてベンダーさんにも全面協力いただいて、通常ほとんど行われない、起動速度の改善調査を行い、原因箇所を絞り込んでいきました」この努力が実り、数ヵ月後、ようやく原因が特定でき、速度の安定が実現。その後、システムはお客様側の要件判定試験も無事にパスし、気持ちよくカットオーバーを迎えた。
「OS側からも調査を行うと決めたものの、結果、原因がわからないことも十分にありえる状況でした。でもその時は、“できることはすべてやりきったということを、お客様にお伝えしよう”と、調査に踏み切りました。曖昧なままにせず、あきらめずに対応をしたことで納得のいく仕事ができました。カットオーバーのあと、お客様から労いの言葉をいただいた時は本当に嬉しかったです」と井上は言う。
上司である細井は、井上についてこう語る。
「井上さんは、前職のOracleサポートの頃から、とても丁寧かつ正確な仕事への取り組みが印象的でした。常に期待以上の結果を志し、社内外問わず高い信頼を得ています。現在、同じチームのメンバーとして活動いただいていますが、サポートの頃のようなリモートサポート且つ製品担当制といった行動制限がないため、視野も行動範囲もより広い中での技術支援活動が必要となっています。関わる方々がどこに進みたいのか、どうなることが最善かという期待と、現状の課題解決をどう進めるか、社内関係者やメーカーと現状を整理しつつ要望に応えられる結果を出すなど、難しい課題を率先して解決してくれています。自己管理力の高さは、課題やチャレンジの多い少人数の新組織では特に頼りになります」と井上に寄せる期待は大きい。
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