ここ数年で急激に増えたフランチャイズ(FC) 塾。その中でも、個別指導の勢いはすさまじい。 現在、40前後の塾で個別指導FCを展開している。各社、加盟者獲得に向け、商品やサービスはもちろん、ビジネスモデルの差異化に入っている。 それぞれのモデルで注目を集めているいくつかの本部を徹底分析し、群雄割拠に入った個別指導FCを比較。今後の動向とその先にある問題に迫る。
総務省「平成21年経済センサス-基礎調査」によると、全国には51,726の学習塾事業所がある。前回の平成18年度の調査では51,625事業所だったから、3年間でちょうど100事業所増えたことになる。しかし実際にはFC勢の拡大もあり、個人加盟者の教室はもっと増えている。この背景には、従来からの個人事業主の廃業や、FCに加盟したものの上手くいかず、早期に廃業した教室の存在がある。
明光義塾を展開する明光ネットワークジャパンを代表に、個別指導塾企業のほとんどが、直営展開にFC展開を組み合わせることで、急速に教室の勢力拡大をしている。また大手は、個別指導以外にも、幼児教室や英語教室など様々なFCパッケージを開発することで、幅広い生徒集客を狙っている。
日本フランチャイズチェーン協会のFC統計調査によると、学習塾・カルチャースクール分野の売上高は前年比110.7%の3,371億円、チェーン本部数は昨年に比べて一つ増えて76だった。また、FC教室数は前年比102.1%の30,879教室、1教室あたりの売上高も前年比108.4%の1,092万円と増えている。
小学校における英語教育の本格化、個別指導の知名度の高まりに伴い、教育サービスFCは教室数・売上高ともに成長を見せている。とりわけ個別指導型のシェアは年々高まっている。教育サービスFC本部の約半分が個別指導塾になる。個別指導シェアの拡大を勢いづけているのが、低資本開業を売りにするアーリーFC勢であり、希望加盟者の懐事情と相まって勢力を急速に伸ばしている。
今もなお、教育サービスFCは増え続けており、これは時代の新しいニーズを反映した結果だと言えよう。FC企業による新ブランドの立ち上げは年々増えており、その関係はかなり入り乱れてきた。
成熟する市場の中、本部間による加盟希望者の争奪戦が激化し、FC本部や教室数が年々増加しているが、ブランドによる優劣がついてきたようだ。
海域1「個別指導」
個別指導型塾を展開するFC本部は確認できているもので40社ほど、その教室数を合わせると実に6,000教室に上る。総務省の事業所・企業統計によれば、学習塾の教室数は約5万であるから、全学習塾教室数の約1割以上が、個別指導のFC教室になる計算だ。個別指導FCは、「アーリーFC」「異業種」「集団」「老舗」と大きく4つのタイプに分けることができる。
■アーリーFC
参入してから10年に満たない「アーリーFCグループ」では、個別指導のセルモ(エデュケーションネットワークス/大阪)、ヒーローズ(東海出版/静岡)の勢いが止まらない。これらの企業は、低資本で加盟できるモデルやデジタル教材を活用することで戦略的に価格付けをし、既存の個別指導FCとは一線を画すビジネスモデルで展開を進めている。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2014.06.17
2015.07.17
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。