ドコモの意外な強み

2007.04.15

営業・マーケティング

ドコモの意外な強み

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

携帯電話の「ナンバーポータビリティ」、 すなわち、「番号継続制度」の利用は低調のようですね。 事前予想では、10%が他社に乗り換える見込みでした。 しかし、昨年10月の同制度開始からの今年3月までの 約半年の実績では、ユーザーの50人に1人、 2%が利用しただけに止まったそうです。

その理由は、手続きの煩雑さと、新規・加入手数料が
乗り換え意欲をある程度抑制したためと考えられます。

この新制度の導入に最も危機感を募らせていたのはもちろん、
市場シェア50%を超える王者ドコモでした。

ドコモとしては、この結果にほっとしているところでしょう。

また、草刈場になると言われていたソフトバンクモバイルも、
いろいろと物議をかもしましたが善戦しています。

ところで、ドコモには意外な強みがありました。
(日経ビジネス、2007年4月9日号)

それは、ドコモの最新8機種は、
特別な申し込みなしで海外の151カ国で利用可能だという点。

一方、ソフトバンクモバイルは事前の利用申請が必要。
auは通信方式が世界標準と異なるため、利用できる国が
限定されています。

なるほど、そうなんですね。知りませんでした!

実は、今回の番号継続制度を利用して、
他社からドコモに切り換えた人の最大の理由は、
「海外利用」だったそうです。

今、ビジネスにしろ、プライベートにしろ、
海外にまったく行かない人は少数派でしょう・・・

そして、既に携帯は肌身離さず持ち歩く、私たちにとって
必要不可欠なコミュニケーションツールになっています。

もし、海外からでも面倒な手続きなしに、
使い慣れた自分のケータイで日本と連絡が取れるということ
であれば、たとえ海外旅行に行く頻度が年1回以下でも、
ドコモから他社への切り替えには躊躇してしまうのでは
ないでしょうか。

つまり、「海外利用」は、ドコモから他社への
ブランドスイッチを阻む強力な障壁のひとつだということです。

ですから、今後、ドコモがこの強みを前面に押し出した
コミュニケーションをやられてしまうと、競合他社としては
かなり厳しいですね。

あー、ただし、ドコモさん、海外利用以前にですねぇ、
国内・地方からの通話をもう少し便利にしてくださいね!

先日行った四万温泉(群馬)周辺は、ほとんど「圏外」で
困りました・・・

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松尾 順

松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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