日経ビジネスが年1回実施している 「アフターサービスランキング」 2012版の結果が日経ビジネス(2012.7.30号)で 掲載されています。
今回も様々なカテゴリー別のランキングが掲載されている中、目に留まったのが、
「ネット通販部門」
でした。
ネット通販部門で安定して高評価を保っているのがセシールです。今回は2位。前回も2位でした。セシールの高評価の理由は、
「返品の送料無料」
とのこと。
このサービスは、同社に限らず、一般的なものになりつつありますが、セシールの場合、他社と大きな違いがあります。それは、製品の不備について返品送料無料で受け付けるのは当然として、
「イメージと違う」
「思っていた色と違う」
「サイズが合わなかった」
といった、購入者側の都合でも、返品送料無料を原則OKとしている点です。
セシールは、
「現物を見ないで購入する」
という「通販」に対する消費者の抵抗感がまだ強かった時代にカタログ通販を始めており、
「自宅が試着室」
という考えで原則無料を始めたそうです。
さて、消費者が製品・サービスを
「購入するという行動」
は、それによって、なんらかのニーズ(欲求)を充足できる一方で、様々な「リスクを取る行動」でもあります。
これは、
「リスク敢行としての消費」
(「ニーズ充足としての消費」と同時に)
と言われています。
この「リスク」には大きくは、以下の6種類あるとされています。
1.機能的リスク・・・機能が十分でないかも、品質が良くないかも、すぐ壊れてしまうかも、といったリスク
2.心理的リスク・・・自分には合わないかも、使いこなせない(着こなせない)かも、といったリスク
3.社会的リスク・・・家族や友人に笑われるかも、嫌われてしまうかも、といったリスク
4.身体的リスク・・・ケガや病気になるかも、肌が荒れるかも、といったリスク
5.金銭的リスク・・・お金を損してしまうかも、お金が戻ってこないかも、といったリスク
6.時間的リスク・・・購入に時間がかかるかも、手間がかかるかも、といったリスク
これらのリスクは、購入時に消費者が‘感じる’ものであり、必ずしも「事実」ではありません。したがって、正確には、
「知覚リスク」(消費者が感じるリスク:Perceived Risk)
と呼ばれています。
販売側としては、ニーズを充足できる製品・サービスを開発すると同時に、購入時に消費者が感じる「知覚リスク」を低減できる施策を整備することで、購入決断の「後押し」をしてあげる必要があります。
通販で一般的になりつつある
「返品サービス」
は、6つの知覚リスクのうち、
・機能的リスク
・心理的リスク
・社会的リスク
・金銭的リスク
次のページ「機能的リスク」
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2013.01.09
2013.02.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。