グループディスカッションの進め方にみる学生たちの傾向。学ぶことにより、最も大切なものを失ってしまっていないだろうか?
では何が気になるのか?私がこの討議に少し違和感を覚えるのは、論理的な進め方さえすれば良いのだと思っている学生が多く見受けられることにある。論理的な討議だけを目的としているせいか、学生個々人の「想い」や「感情」が全く感じとれないのである。しかも、論理構築のプロセスにおいても、残念ながら「その論理はおかしい!」とか、「私はその論理展開に納得できない!」という論理そのものの議論をする学生もほとんどいない。何となく論理的であれば良いとう雰囲気の中、安易な協調性だけが先行し、皆が何となく合意しているケースが目立つのである。
この傾向をちょっと斜めから見ると、感情のぶつかり合いや葛藤を避けるために“論理的な思考”を持ち出して、その論理をクッションとし、誰も傷つくことなく討議を終了させようとしているようにさえ感じてしまう。
論理的に考える力は社会人として必要であることに間違いはない。人に何かを説明するときや説得するときなど、論理的な思考ができないことには話にならないだろう。しかし、論理的でありさえすれば良いかのというと、そうでは決してない。これは新卒学生だけにいえることではないが、「論理」とそこに込められた「想い」のバランスが非常に重要なのだと感じる。そして、実社会においては、どちらが重要かと問われれば、後者なのかもしれない。
自らを高める為に、いろいろな勉強をして、トレーニングを積む。しかし、努力をすればするほど、本来自然にもっている最も大切なものを失ってしまうことがあるのかもしれない。厳しいい就職戦線の中、試行錯誤する学生たちに心よりエールを送りたい。
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2012.05.28
2012.06.18
株式会社ワークスラボ 代表取締役
アセスメントデベロップメント(アセスメントと人材育成を融合した人材開発プログラム)の考えの基、企業における人材開発体系の構築から幹部社員育成プログラムの開発、各階層におけるアセスメントプログラムの開発・実施を手掛ける。 また、慶應義塾大学ビジネススクールの受託研究開発担当として、企業の抱える経営課題の分析から解決に向けたプロジェクトの推進・マネジメントに従事する。