コンサルタントは、男芸者を目指す。

2012.04.13

開発秘話

コンサルタントは、男芸者を目指す。

喜田 真弓

アシストに中途採用で入社した転職組の中には、前職でアシストの製品を扱っていた、またはユーザだった、というケースが少なくない。矢野勝彦もそんな一人である。

こうして自己研鑽を続けながら業務に携わるうちに、矢野は、“答えを言わない。お客様が持っている答えを引き出す”というスタイルを身につけていった。

「お客様のビジネスにおいては、お客様自身が絶対的にプロな訳で、我々の役目は、それらを論理的に整理したり、これまでの経験や実績に基づいた新たな視点を提供し、お客様にとっての答えに気づいていただくことだと思っていますから、お客様の中にある答えを引き出すために、さまざまな工夫をしています。その一つが、常に自分なりの“答え”を考え続けることです。仮説としての答えをいくつも考えておくという過程を繰り返さないと、お客様がはっとするような気づきを与えることは難しいので、言わないけれど考えておくという、一見無意味なようなことに、バカみたいな労力をかけています」。移動中や休日にも、フッと仮説が思いついたりすることもあるのだと矢野は言う。

お客様の答えを引き出すためにコンサルティングの現場で矢野が行っているワークショップは、次のような形式だ。

■まず、「場」を作る

「コンサルタントと名乗る以上、“なるほどね。あの人いい(オモロイ)こと言うね”、というつかみは何がしか必要です。つかみがうまく行って、ある程度信用を得たら、相手の『場』に入っていって、これからみんなでゴールに向かうぞという「場」づくりをします。私の場合は、お客様の一人ひとりの声に耳を傾け、まずは受容するという工夫をしています。こうして前向きにみんなで議論ができる『場』ができれば成功です」

■「場」をころがす

「ゴール」に向かって、お客様に気づきを与えていきながら、「答え」に向けて誘うのが次のステップです。ここでは5つのことを気にかけて支援します。

1.議論を深めていく
お客様の発言に対して「質問をする」ことで話を深めていく。「それって?」、「とおっしゃいますと?」という簡単な質問でも有効です。

2.発想の転換を促す
議論が煮詰まったら、視点を変えて違う観点から考えてもらうように工夫します。事前に考えておいた様々な仮説がこの時役に立ちます。「意表を突く」のですね。

3.混乱したらシンプルに考える
議論が多岐にわたってしまったり、それが利害関係者ごとの意見の乱立だったり、思いつきだったりするような場がでてきたら、一旦白紙にもどして、シンプルな出発点のみを示すよう努めています。

4.焦点を一点に絞り、皆で悩む
ロジカルな議論や自由な議論を一旦終了させて、おもいっきり一つのテーマに焦点をあてて、お客様に真剣に悩んでいただく時間を作ります。これはお客様の納得感や達成感という意味でも重要な要素です。もちろん自分も一緒に悩みます。

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