先日、米ウォルマートが、 「西友」 の完全子会社化を決定しましたね。 ウォルマート(以下、WM)が、 西友に資本参加したのは2001年5月のことでした。
WM流経営ノウハウを持ち込み、西友の再建に乗り出したわけです。
WMの日本進出当時から、
果たしてWM流が日本で通用するのかなあ・・・?
と、私も含め多くの人が懐疑的でしたが、
結果的には6年連続の赤字。
「WM流」による西友の再建は、
今までのところ失敗に終わっています。
失敗に終わった理由のひとつは、米国では通用した
「安さ(だけ)重視」
の店は、日本人の消費者には受け入れられなかったということ。
もちろん、一般消費財を売る小売店において「安さ」は
重要です。でも、日本では品質の高さと、サービスの充実も
同時に求められますよね。
しかし、WM流では、安さの代わりに品質や安さを犠牲にします。
このため、顧客にそっぽを向かれてしまった。
たとえば、WMのプライベートブランド(PB)しか
並んでいない腕時計。安いけれどデザインがパッとしません。
しかも売り場では、
「電池交換やベルトの調整は承れません。
ご理解のうえ、お買い求めください」
と表示してある。
WMになって、
アフターサービスを止めてしまったのです。
お客さんからは「不親切」だと、
怒られっぱなしなのだそうです。
さて、WM流が通用しないもうひとつの理由、
それは、従業員満足をほとんど考慮していない点です。
現在、全390店のうち、300店で24時間営業を実施し、
「(顧客に)最高の利便性を提供している」
とエドワード・カレジェッスキーCEOは胸を張りますが、
現場の従業員は、
「おれはロボットではない。24時間営業といっても限界がある」
と不満を漏らしています。
また、WMになってから、
現場の裁量がほとんど奪われてしまいました。
今の店長には、品揃え、価格の決定権はほとんどありません。
残念ながら、現在の西友の職場で、
「働きがい」「やりがい」
を感じることはあまりできないようです。
WMが経営を握って以来、
たたき上げの人がどんどん去っていきました。
WM進出当時、日本側が、WM幹部に対し、
「そんなやり方は、日本では通用しない」
と具体的な根拠を挙げて反論したところ、
言葉に詰まった彼らの口から出てきたのは、
「We are the capitalist」(我々は資本家だ)
だったそうです。
彼らが、自分たちのことを資本家と言うのなら、
あくまで資本家に徹し、経営に乗り出さなければいいのに!
と思いますよね。
そして今、西友がWMの完全子会社となったとしても
あいかわらず先行きは不透明。
従業員の方にとっては、
将来の希望が持ちにくいでしょう。
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2008.08.12
2009.02.25
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。