国内店舗の売上が二年連続で減少。不調に喘ぐウォルマートが、起死回生を賭け、今、店舗+ウェブ+モバイルの戦略に乗り出す・・・。
先日、世界最大のリテーラー、ウォルマートが、ソーシャル・メディアのスタートアップ企業、コズミックス(Kozmix)を買収したとのニュースがありました。
コズミックスというのは、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・メディアをさらい、トピック別に情報をフィルタリングかつ整理整頓して提示してくれるサイトです。Kosmix.comはまるで検索エンジンのように働きますが、サイト上部に表示されるボックスにキーワードを入れると(ここでは、Walmartと入れてみた)、記事、リファレンス、ビデオ、ニュース、ブログ、ガイド、フォーラム、ツール、フェイスブック、ツイッターなどのセクションに分かれて、ウォルマートに関するありとあらゆる情報が提示されます。
Walmart.comのビジター数トレンドから、先日発表された配当金増加のニュース、元従業員の声、給与情報に至るまで、なるほど・・・、「ウォルマートについての最新情報」を把握するにはもってこいのサイトです。私も仕事がらよくウェブでリサーチをしますが、市場や世間の人が「今」ウォルマートについて何を言っているのか、このサイトを見ればよくわかります。
とても便利なサイトであることには間違いないですが、さて、コズミックス買収の背景にあるウォルマートの具体的な意図は・・・というと、あまり明確に説明されていません。
「今日、急速に成長しているソーシャル・コマース環境において、我々の能力を拡大していくことを視野に入れている。世界的に見ても、ソーシャル・ネットワーキングやモバイル・アプリケーションは顧客の日常生活の一部になりつつあり、ショッピングについての考えや姿勢を影響するものとなっている」というのが、買収に際して、ウォルマートの副会長エデゥアルド・カストロ・ライト氏が出した声明です。
コズミックスの共同創設者であるベンキー・ハリナラヤン氏とアナンド・ラジャラマン氏は、シリコンバレーでは有名なシリアル・アントレプレナー(連続起業家)です。1998年にアマゾンに2.5億ドルで買収されたショッピング・サーチ・エンジン、ジャングリーも彼らのクリエイション。その後、両者はアマゾン社内で人的タスクのクラウドソーシング・マーケットプレイス「メカニカル・ターク」(翻訳、文章の書き起こしなどの仕事に関して、依頼者と遂行者を結び付けるマーケットプレイス)の開発に携わるなど華々しい経歴を持っています。
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ソーシャル
2011.04.27
2020.06.16
2020.07.02
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。