新社会人に贈る2011~人は仕事によってつくられる

2011.03.30

組織・人材

新社会人に贈る2011~人は仕事によってつくられる

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事は収入機会であるばかりでなく、成長機会、感動機会、触発機会、学習機会、貢献機会、財成機会でもある。仕事は機会(チャンス)の固まりである。その固まりを給料をもらいながら得られるのだから、なんとも会社は有難い。

 どうかみなさんは、みずからの仕事を大きな目的・意義につなげる意識を持ち続けてください。そうすれば仕事というのは、生活の糧を稼ぐ「収入機会」であるばかりでなく、自分の可能性を開いてくれる「成長機会」となり、何かを成し遂げることによって味わう「感動機会」となり、さまざまな人と出会える「触発機会」となり、学校では教われないことを身につける「学習機会」となり、社会の役に立てる「貢献機会」となり、あわよくば一攫千金を手にすることもある「財成機会」となります。
 仕事は、実に機会(チャンス)に溢れているのです。このような機会の固まりを、お金(給料)をもらいながら得られるのですから、会社とはなんとも有難い場所ではありませんか。
 社会人の先輩の一部には、仕事がつまらなくなると「仕事は仕事、趣味は趣味」と割り切り、「趣味で人生楽しめばいいや」という人がいます。しかしこれは少し残念な姿勢です。趣味を楽しむことが悪いというのではありません(私も自分の趣味を大いに楽しんでいます)。仕事という大切な機会を十全に生かそうとしない姿勢が残念なのです。
 作家の村上龍さんは著書『無趣味のすすめ』でこう言っています―――「趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクを伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している」と。
 みなさんはもう社会人になった。これからは仕事があなたを成長させてくれるのです。「仕事とは人格の陶冶である」と心得てください。

◆登山型のキャリア・トレック型のキャリア
 みなさんはいま、新しい生活を前に期待と希望に胸がふくらんでいることでしょう。しかし実際のところ、入社後半年や1年も経てば、多くの人が多忙な業務処理に追われて、自分の方向が見えなくなってしまうのが現実です。
 そして改めて持ち上がってくるのが、「この会社でいったい自分は何がやりたいのか?」「この職業を通して何を目指したいのか?」という自問です。この問いは難問です。事実、職場の先輩社員や上司もこの難問に対する自身の答えを持っている人は少ないのです(試しに周りの先輩方に訊いてみてください)。
 もちろん、もし、あなたに一心不乱に没頭できる職業上の目標が確固とあって、そこに邁進していけるのであれば、それはとても幸せな働き人です。どんどん突き進んでください。しかし、そういった明確な目標やら目的がすぐに見出せなくても、めげる必要はまったくありません。そこで登山とトレッキングの例を出してお話ししましょう。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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