「確かに、うまい」 サントリービール、 「ザ・プレミアム・モルツ」 のキャッチコピーですね。
自社製品をこうして「自画自賛」するのは
いかがなものか?
とちょっと思わないでもないですが、
「名コピー」
だと思います。
その理由は2つあります。
ひとつは、「モンドセレクション」で
「3年連続最高金賞」
を受賞しているというお墨付きがあること。
世界中から優れた製品を発掘・顕彰することを目的としている
「モンドセレクション」は、1961年から続く権威あるコンテスト。
この第三者の客観的評価があるので、
「確かに、うまい」
は、単なる自画自賛、自己満足でないことが
わかるわけです。
もうひとつは、実際飲んだ人の多くが、
「そういえばそうですね」
と、素直に納得できること。
ここに「伝わるコピー」の秘密があります。
昨日も取り上げましたが、
コピーライターの谷山雅計氏の著作、
『広告コピーってこう書くんだ!読本』(宣伝会議)
の中で、谷山氏は、
「常識とコピーと芸術」の3分法
という独自の考え方を教えてくれています。
“ある意見を人に言ったときに、それを聞いた受け手の
反応は大きく3つに分かれると、ぼくは考えています。
それは、「そりゃそうだ」と「そういえばそうだね」と
「そんなのわかんない」。
この3つの反応の違いに、「常識とコピーと芸術」
の違いがあると思うのです”(前掲書)
このように谷山氏は述べた後、
次のような具体例を挙げています。
あなたの目の前に豆腐があると想像してください。
そして、私がそれを指さして、
「この豆腐は白いんですよ」
と言えば、あなたは
「そりゃそうでしょう。見ればわかります。」
と答えますよね。
これが「常識」。
次に、私は、
「この豆腐の白さはね、現代の不安を象徴してるんですよ。」
と言います。
これを聞いた人のほとんどは、
「はあ?」「よくわかんない!」
と反応するでしょう。
これが「芸術」。
最後に、
「豆腐はね、すごく栄養があるので、
“畑のステーキ”みたいなものなだんだよ」
と言ったら、あなたは、
「確かにそうだね」「あ、そういえばそうだ」
と答えるはず。
これが、「コピー」なのだと、谷山氏は考えています。
谷山氏によれば、コピーとは、
「知っていること」(=常識)
でも、
「知らないこと}(=芸術)
でもありません。
ちょっとわかりにくいですが、コピーは、
「知っているのだけれども、
ふだんは意識の下に眠っているもの」
なのだそうです。
すなわち、コピーとは、
「意識の下に眠っていること」
を言語化することによって「よみがえらせる」行為であり、
その結果、相手の納得や共感を呼ぶメッセージとして
伝わるということなのです。
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2008.08.12
2009.03.05
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。