現在大学3年生の就職活動が本格的にスタートした。景気低迷の影響を受け「超氷河期」ともいわれているが、採用担当者は学生のどのようなところを見ているのだろうか。今回の時事日想は元採用担当者に、就活の舞台裏を聞いた。 [吉田典史,Business Media 誠]
最近、就職活動(就活)に関する記事が増えてきた。そこには、会社員経験がない評論家や人事の仕事を1日もしたことがないコンサルタントなどが登場し、立派な考えを述べている。いずれの意見も私が取材してきた事実と食い違うことが多く、驚くばかりだ。そこで今回の時事日想はかつて大企業の人事部に勤務し、新卒の採用に関わってきた専門家の話を紹介したい。特に以下のポイントについて尋ねた。
* 採用試験(筆記試験、エントリーシート、面接試験など)はどのように進められるのか。
* 出身大学、学部の扱い。
“熱い想い”が凝縮されているエントリーシート
まずエヌ・アイ・マインドで代表取締役を務める赤堀吉昭さんにお話を聞いた。彼は総合商社の人事部に席を置き、そのとき数多くのエントリーシートを見たり、面接試験などに関わった。現在はその経験を生かし、採用のコンサルティングを行っている。
赤堀:東大でも京大でも、迷うことなく不採用にしていました。その数は相当なものになります。入学難易度の高い大学の学生だからといって無条件で内定を与えることはしませんでしたね。
非常に多くの学生がエントリーする業界であり会社でしたから、まず筆記試験を行っていました。それをパスすると、面接試験に進むことができます。このステージに上がってくるのは偏差値の高い大学の学生が多いように感じました。いわゆる“お勉強”は得意なのかもしれませんね。
私たちはセミナーにも行きます。そこには難易度の低い大学に籍を置いていても、魅力的な学生がたくさんいました。そこで「うちの会社を受験してみないか」と誘い、筆記試験を受験するようにするのです。ところが、その学生たちはそれを突破できないのです。中にはパスする人もいましたが、少なかったように思います。
大体、筆記試験を行う前にある程度のボーダーラインを設けておきます。そのラインを例えば上位5%の点数を取った人、それを偏差値に置き換えて60 だとします。問題は、そのボーダーラインの前後に位置する学生たちの扱いです。つまり、偏差値58~62のあたりです。私たちは少しでも優秀な学生を面接に呼びたいので、この学生たちのエントリーシートも確認していました。
このボーダーラインの取り扱い方ですが、筆記試験の後に控えるグループディスカッションにも人数制限があります。そこでその人数に合わせるべく、ボーダーラインを設定するのです。
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