10日・日経新聞朝刊に「大学発VB経営厳しく・55%が経常赤字」という記事が掲載された。 初期段階ではファンドの未整備などの問題もあり、多産多死の観が否めなかったが、 今日、ベンチャービジネスは事業のありようとして確たる地位を築いている。 大学発のベンチャーのどこに弱点があるのか検証してみたい。
・「レベニュー・モデル」
安定的に収益を確保できるしくみがあること。
企業として永続性を確保するためには、当然のことながら利益を生み続けなくてはならない。
そのためにはまず、「売れる商品」があることと、その商品が「売れ続けるしくみ」が構築されていることが肝要だ。
売れ続けるしくみとは、前項のオペレーションモデルとも密接に関連してくるが、まさに大学発ベンチャーが苦しんでいる「販路確保」などは極めて大きな問題だ。
普通であれば、ある程度の販路確保の目処を立ててから起業するべきだが、「技術を背景にして製品開発は何とかなる」「資金調達はできた」という段階で起業してしまったのであろう。
そこに最大の問題点がある。
また、レベニューは単一の製品を、単一の価格(利益)に依存して積み上げるのは避けたいところだ。
複数の売り先に、マージンミックスをして利益を上げる。
もしくは、ある製品は直接販売して収益を上げ、ある製品は、どこかの企業に製造・販売のロイヤリティーを与えてマージンで利益を上げるなど、多用なレベニューモデルを持っているほど基盤が強固になる。
そうした工夫がなされていたかも疑問だ。
さて、上記のように、ビジネスモデルを要素分解してみると、どこが弱かったのかが明確になる。
ビジネスモデルは3要素のどこか一つ二つが突出しているからといって成立するものではない。
三つの要素がバランス良く保たれていてこそ、ビジネスとして成立するのだ。
それができていなければやがて破綻する。筆者が経験したとおりに。
起業希望の学生には「ビジネスモデルの三要素がきちんと成立してから起業せよ」と毎年講義で言っている。
ビジネスモデル=ユニークなアイディアというような勘違いで、一時多くのベンチャーが淘汰されたが、大学発ベンチャーも同じような時期に来ているのではないだろうか。
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2007.10.16
2007.10.20
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。