コンピュータ・ソフトウェアの販売/サポートを行うアシストで、入社2年目から主力製品の教育事業を立ち上げた藤井宏樹。駄目講師が、いかにして毎回顧客満足100%を得る花形講師に変貌したかについて聞いた。
「もうちょっと経験を積んで欲しい」
「説明するだけではなく、事例をたくさん盛り込んで欲しい」
「もっと、現場を経験した講師ならではの生の工夫や情報を取り入れられないのか」
当時駆け出しだった藤井の精一杯の努力は研修受講者の心に響くことはなかったのだ。
実務経験のない藤井にとって、現場の工夫や事例を講義に反映させることは、普通に考えればそもそも無理がある。投げ出すことも無理もない選択肢だったはずだ。しかし、 「JP1の研修コースは、自分が作ってやる」と腹を括ったのだ。
藤井はまず、受講者のコメントに対して、講師として何ができるかと3つの観点で検討し考えた。
一、いかんともしがたい実務経験の欠落をどのように補うか
二、受講者が何を求めて研修に参加しているのかを把握できないか
三、新米社員でも対等に接してもらうにはどうすれば良いか
であった。新人に等しい藤井にとって、受講者である生徒は、大手企業のシステム部門で働く大先輩ばかり。それだけでハンディキャップを負っていたようなものだ。
■実績がないなら、借りてでも
まず、1つ目の実務経験の欠落について、具体的には、その後どのような行動を取ったのだろうか。藤井自らの弱点を克服するために、アシスト内に存在する、JP1の技術関係者と、積極的に組織横断的な連携を取ったのだ。アシストには、製品技術に関して3タイプの技術者が存在する。運用設計や実装/導入支援をしたり、稼働後の技術支援を提供するフィールド・サポートの技術者と、JP1の利用者から技術的な問い合わせをWebや電話、電子メールなどで受け付けて回答するサポートセンターの技術者、そして藤井のような、JP1の研修講師である。
藤井は、研修以外の技術者、すなわち、フィールド・サポートとサポートセンターの技術者とできるだけ一緒に行動を取るようにした。自分から上長や他部門の関係者に働きかけ、フィールド・サポート担当者のミーティングに参加させてもらったり、フィールド・サポート担当者が客先で実装支援を行うと言えば、一緒に同行して手伝ったり、またサポートセンターのメンバーとJP1に関する問い合わせ状況について情報共有したり、積極的に取り組んだ。その結果、それまで研修の枠の中でしか物事を捉えられていなかったのが、JP1の技術について、導入前から導入後の継続利用まで、お客様目線、つまり横串で捉えられるようになったのだ。また図らずも、他部署のフィールド・サポートからも逆に、客先での製品説明の依頼が届くようになり、社内のステータス・アップにも繋がる結果となった。
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株式会社アシスト
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