前年モデルに何か新しい機能をプラスする、もしくは大幅なデザイン変更を行って注目を集める―それがこれまでの“最新家電”のあり方。ところが、“引き算+α”のものづくりを始めたメーカーがあります。単なる多機能・高機能化でなく、独自の技術を駆使した“ユーザー視点の家電づくり”を目指す三菱電機のマーケティング戦略、気になります。(三菱の家電戦略~Vol.1)
多機能・高機能化が目立ち、魅力的に見えて購入した家電なのに、使いこなせずに宝の持ち腐れになってしまう、そうしたことのないようにと、あえて目指した“引き算+α”のものづくり。でもこれは、明確なターゲット設定があればこそできるものなのだと思います。
除湿乾燥機のターゲットを「部屋干しをする人」、IHクッキングヒーターのターゲットを「シルバー層」、炭炊釜のターゲットを「収納性&デザイン性を求める人」というように。そうすることによって、これまで「どれも同じようでどれを買っていいのかわからない」と思っていた人たちが、「これこそが私の欲しいものだった」のだと認識できるのですよね。
よく聞かれる“他社との差別化”という言葉を具現化するには、思い切ってターゲットをしぼり、必要な機能を見極めることが大切なのかもしれません。
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……と、独自路線を歩んでいる三菱電機の家電を分析していたら、今日(2010.08.24)、2011年の家電戦略についての発表会があり、目指すは“使いやすさ革命”とのこと。製品の高度化・多機能化だけでなく、最新の便利で高度な機能を使いこなせるようにという、ユーザー視点の中でも特にユニバーサルな視点に基づいた家電シリーズ展開について発表がなされました。
その名も『らく楽アシスト』。先に紹介した「らく楽IH」は、その前哨戦ともいえるものだったのですね。
“引き算+α”のものづくりに続き、エアコンや冷蔵庫、テレビを筆頭に発表された“使いやすさ革命=らく楽アシスト”の製品群については、次回にお話ししたいと思います。
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2010.10.02
2010.10.12
株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー
新聞社勤務を経て、フリーランス・ライターに転身。マーケティング会社での企画・広報などを兼務した後、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立し、2008年に株式会社神原サリー事務所を設立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」ことをモットーに顧客視点でのマーケティングを提案している。