批判はあるようですが「人は見た目が9割」という書籍がヒットしたこともありました。 それでは企業は? 「企業は取引先が8割5分」です。どういうことか数字を以って説明します。
外部に支払われている費用は原材料や部品だけではありません。それは、R&Dでの市場調査、研究開発委託に始まり、製品出荷の物流、販売店舗の賃借ないしは取得費用、店舗の内外装工事、業務インフラのIT、人事等のアウトソーシング、経営のアドバイスに関わる顧問料、コンサルティング費用など、様々な形で企業は外部から力を借り、それに対して対価を支払っています。その結果が「企業は取引先が8割5分」という数字で、製造業はこの数字が更に大きくなる傾向にあります。
ここで気をつけなればいけないのは、8割5分ものお金が外に逃げているので、それを短絡的に削れば良いということではないということです。ここで申し上げたかったのは、たとえメーカであっても、すべてを自分で作っているのではなく、売上、事業の8割5分が取引先によって支えられているという現実なのです。
つまり、事業、商売を成功させようと思ったら、単純な取引先からの買い叩きや社内のコスト削減ではなく、この8割5分の費用をいかに売上、利益に貢献する生き金にするかということを考えなければ大きな成果は得られないということです。そして、この費用を死に金にするか生き金にするかは、取引先ではなく貴社の社員に掛かっているのです。なぜなら、どの会社とどのような取引をするかを決定し、それが望んだ以上の結果を出しているかをコントロールしているのは、取引先ではなく貴社になります。
総合商社に勤めていた時に、複数の上司、諸先輩から、「商社は人を使ってナンボだ!」と何度も口を酸っぱく指導されました。こう言われた時は「何て偉そうに」と思っていましたが、「自社が望む以上の材・サービスを提供してもらい、自社の事業、売上、利益に貢献して頂く」という良い意味で解釈すれば、これは総合商社、大企業だけではなく、弊社のようなベンチャー企業を含めて、企業規模や製造業、サービス業、流通・小売、IT関連などの業種を問わず、いずれの企業にも通じる言葉かと思います。
そうした個々の取引の大切さを忘れないためにも、
「企業は取引先が8割5分」
という数字を常に頭のどこかに置いておいて頂ければと存じます。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます