「ハッとする企画なのに理解されない」「なぜかプレゼンを突破できない」と悩んでいるマーケターは少なくないだろう。筆者は2つの人間タイプを理解すれば、“グッド・マーケター”になれるかもしれないとアドバイスする。 [郷好文,Business Media 誠]
あなたがグッド・マーケターになりたければ、ぜひ今回のエッセイを読んでほしい。
こんなことに悩んでいないだろうか? 「ハッとする企画なのに理解されない」「なぜかをプレゼン突破できない」。企画段階で面白さがスルーされる残念、プレゼンの苦労が水泡に帰す無念。同じ人間同士、同じ言語を話しているのに、どうして伝わらないのか?
私はかれこれ10年くらい、マーケティングをめぐり、さまざまな視点からエッセイを書き散らかしてきた。「売り手から買い手にどう思いを伝えるか?」「マーケティングはコミュニケーション」「マーケティングは翻訳業」、そんな思いを真ん中に置いてきた。
だから私自身はヘボ・マーケターだが、「グッド・マーケターの何たるか」は知り尽くしていると自負する。今回はマーケティングのキモにあること、「どうすればグッド・マーケターになれるのか?」をテーマにしたい。
マーケティングって意味ないじゃん
書き散らかしてきたエッセイの古い読者から、先日1通のメールが届いた。貴重な女子読者のKさんからだ。早速、メールを開いてみると……。
「郷さん、東京は暑いそうですが、お変わりありませんか? 突然のメールで恐縮ですが、もしアドバイスをいただければと思いまして」
彼女は日本企業社会での慨嘆・愁嘆・覚醒を経て、今は遠く北米のコンピュータソフトウエア開発会社で働いている。もともとシステム開発業務にも通じていたが、今は人とシステムの間にあることを伝えることをミッションとする職種。社員の大半がコンピュータ・エンジニアという会社のマーケティング部門にいる彼女の悩みは、「エンジニアとマーケターが通じ合えない」ことだ。
「こちらではエンジニアは大学でコンピューターサイエンスをばっちり学んだ、生粋のコンピュータ人間集団なんです。そんな会社に某大手ソフトウエア会社出身マーケティングコンサルタントがやってきて、色々とアドバイスするのですが、彼は『非常にマーケティングな人』。彼がどれだけマーケター言語で語ろうと、社内の人たちにさっぱり伝わらないのです」
分かるなあ。私自身、要件定義(システム構築でユーザーとSE=システム・エンジニアが開発要素を詰めること)をする側・される側両方経験したが、SEの話はどこか綿をつかむ感じ。Kさんも社内に“マーケティング的ではない仕事の進め方”がゴロゴロしていると感じるという。その改善のために経営者はコンサルタントを雇い、Kさんを雇った。ところがミゾはなかなか埋まらない。
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