日本のミニカーの代名詞ともなっているトミカの創業は、1970年。40周年を迎える今年までの累計販売台数は、5億3800万台以上。車種は、800種類以上に及ぶという。その歴史の中で一番売れた車種は、いったい何でしょう?
トミカ40周年のニュースで配信された歴代ランキングは下記の通りである。
1970~2009年の歴代販売車種BEST5
1:日野はしご消防車 271万台
2:古河ホイールローダー 207万台
3:コマツブルドーザー 197万台
4:トヨタ2000GT 160万台
5:ポケモンバス 151万台
※トミカ40周年、販売台数ランキング 2010年1月31日(日) 12時23分配信記事より
http://response.jp/article/2010/01/31/135645.html
子供達の選択するブランドは、トヨタや日産ではない。
日野や古河やコマツなのである。
歴代上位は、全部「働くクルマ」なのだ。
トヨタや日産ののっぺらぼうな乗用車を選ばずに、ひとつひとつに特徴のあるクルマを選択してきているのである。一目でわかるユニークな形を子供達は望み、ミニカーを通じて大人達が働く姿に思いをはせている。
子供の無意識のコモンセンスは、
デコボコを選択する。
走るではなく働くことに期待する。
かっこいいではなく面白い方を選ぶ。
理屈抜き&仮説なし=前提のない選択には、正義がある。
私達は、そんな大事なことを身体で知っていながらも・・・
社会やテレビから流れてくる前提に絡め取られていく。
そして、トミカの「働くクルマ」で遊んだ子供達は、、、
いつしか、安定した職業を望み、、、
同じようにエコを唱え、、、プリウスに乗り、、、24時間テレビに感動する。
少し悲しい結末である・・・。
こんな有名ジョークがある。
アメリカのNASAは、宇宙飛行士を最初に宇宙に送り込んだとき、 無重力状態ではボールペンで文字を書くことができないのを発見した。 これではボールペンを持って行っても役に立たない!
NASAの科学者たちはこの問題に立ち向かうべく、10年の歳月と120億ドルの開発費をかけて研究を重ねた。 その結果ついに、無重力でも上下逆にしても水の中でも氷点下でも摂氏300度でも、 どんな状況下でもどんな表面にでも書けるボールペンを開発した!! 一方、ソ連は鉛筆を使った。
前提に縛られるか。それとも、最初から前提なしの状態で物事に取り組むか。その姿勢ひとつで獲得できる成果は変わる。
凄いアイデアマンや企画の人間は、その問題に取り組むときの前提の捉え方が違う。むしろ前提すらないところから始める・・・。子供の頃に、トミカの日野はしご消防車を選択したような無垢な視点で・・・。そして、そのビジネスの結果は、社会正義となる。
アホな子ほど正義を選択するセンスがある。
そして、親はそんな『アホな子ほどかわいい』のである。
前提に縛られた仮説ごっこがマーケティングやプランであった結果が、いまの閉塞した時代を招いている。
こういう時代だからこそ、マーケッターやプランナーは、『アホな子ほどかわいい』説を体現するべきである。トヨタやホンダや日産の戦略を賢い頭で分析する前に・・・日野のはしご消防車や古河のホイールローダーで遊んだ・・・前提に縛られない柔軟な頭を取り戻すことにしよう。
私的マーケティング論
2010.11.02
2010.09.17
2010.08.19
2010.08.08
2010.07.30
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2010.04.04
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2009.12.20
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。